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輪廻伝記〜この世界を生きている〜  作者: 今日 虚無
獣人の国スルト編

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11 故郷と獣人の国スルト

ヘルトから一本道を通りクラージュへと着く。

クラージュは六年たっても復興していなかった。

魔族から最初に侵攻された危険な都市に人が戻ってくるわけがなく世界ではクラージュは防衛前線都市ではなく瓦礫の都市と呼ばれるようになっていた。

今のクラージュは住む場所をなくした者たちの町となっている。

クラージュ侵攻があってすぐの頃は金目の物を狙って賊が窃盗に入り数日は賊どうしで殺し合いがあったという噂も回っていた。

エリアたちが歩いてくると郊外の一軒家が見えてくる、ブラグル家が住んでいた家だ。

今は誰かもわからない人がエリアとテレサが木刀で戦ってた庭で団欒していた。

その光景を見てエリアは悲しみ、怒り、何かわからない感情に襲われたがただもうあの日は帰ってこないことを再確認した。

エリアたち、いやエリアは当時父が向かった方向、エリアが歩むことのなかった方へと歩き出す。

クラージュ都市内は郊外よりも多くの浮浪者が住んでいた。


父が命を賭して戦った場所は……。


エリアたちが歩く姿をジロジロと浮浪者全員が見てきた。

街を歩いていると真ん中から大きく崩壊した城壁が見えてきた。

ここまで歩いてやっとエリアが口を開く。


「そうか……こうなっていたのか……ここで戦ったのか……ここで生きていたんだ……」


エリアは六年前ヘルト(ヘイムダルの都市)に父の死体が運ばれてきた時その死を受け止めた気がしていたが、六年ぶりに滅びたクラージュに来て父が死んだことを受け止めきれていなかったことに気がつく。


なんともいえない感情が襲う。 

自然と涙が出ていた。

しばらく城壁の前から動くことができなかった。




「よし! スルトに出発しよ!」


エリアは心を整理してパッと涙を拭いて何かが吹っ切れた声を出す。


「そうだな……スルトに出発だ」


「うん……」


シェニーが泣きながら返事をする。


「なんでお前も泣いてんだよ」


「いいでしょべつに! さぁ行くよ!」


シェニーも涙を拭き一人でそそくさと歩いて行ってしまった。


「おい、危ねぇぞ! 待てって!」


そう言ってネスはシェニーを追いかける。

そんな光景を見ながらエリアは笑っていた。




それから数日間三人はクラージュを後にし獣人の国スルトの首都リベルに向かって歩いていた。

そして今いるのが。


「ここが国境ね」


シェニーが指を刺した場所には魔法で幅一メートルほどの線が引かれていた。

ここが人の国ヘイムダルと獣人の国スルトの国境。

足で踏んでみても消えない淡く光る線。


「なにこの線? 魔法?」


「私もこの線がなんなのかわからないんだよね、大昔に突然現れたらしいけど」


エリアは国境の周りを見回す。

国境近くはなんの建物もない自然豊かな場所だ。


「国境を守ってる人はいないんだね」


エリアは疑問に思う。


(国を守るにはやっぱり国境を守らないといけないんじゃ?)


「国境を守るっていうよりはどの国も国境近くに都市を置いてその都市を守るって感じかな、スルトも近くっていっても歩いて一週間ぐらいかかるけど都市があるよ、まぁ通らないんだけどね」


「へぇ〜」


そんな話をしながら別に第一歩とかもなく三人は国境を越える。


「そういやスルトってどんな国なんだ?」


「獣人の国スルトは別名戦乱の国とも呼ばれている国よ、別に今戦いが起きてるわけじゃないんだけどね……ん? そういえばお姉ちゃんから逃げてるって言ってたネスはスルトに行ったことなかったの?」


「逃げ出したのは数ヶ月前だからな、俺はフレイアしか行ったことねぇぞ」


「え、そうなの? まぁいいや、それでスルトの特徴は、海際ぐらいにしか平地がない地形で、刀って呼ばれる武器とか、木造の家が多いとか、騎士団がガッチガチの鎧を着ないとかかな? あとは〜五天様ね!!」


「五天って神様に力をもらった種族を代表する人だよね」


「そう、約千年前導きの神様によって選ばれた人たちね、その五天様が唯一国の王じゃなくて騎士団の総括を務めているところかな」


「なんで王様じゃないの?」


「そんなに詳しいことは知らないけど何百年前かに自ら王の座を降りたんだって」


「何百年前?」


エリアがふと疑問に思う。


「獣人族ってそんなに長寿だったっけ?」


「長寿じゃないよ、ただ五天様が長寿なだけ」


「長寿といえば聖人族のおまえは何歳なんだ?」


「えーっと百歳くらいかな?」


(え、そんなに年上なんだ、さすが聖人族……)


そんな話をしながら、道中にあった村に泊まったり、魔族の情報を集めたり、シェニーがネスに魔法を教えて全然ダメなところを笑ったり、川で釣りをして釣れた魚を食べてみたりと日々を過ごし、ヘルトを出てからはや四週間が経っていた。

道中立ち寄った村々の情報によると本当に森では上級魔族が出没するらしい。

そして今エリアたちは森の中に通された道を歩いている。


「シェニーもうちょっとでリベルに一番近い村につくんだよね」


「そうだよー」


そんなことを言っていると行く手の森の中から草木が大きく揺れる音がする。


「これ……いやまさか?」

「まさかな?」

「まさかね?」

ここ数話短いね。

だいぶミスってる。

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