01.ネコモドキと面接
「もうこなくていいよ」
苦笑いしながらクビ宣言をしてくる店長は
顔や制服が、ススで真っ黒になっている。
「すみません…」
―バイト先を後に、街を歩く少女。
内心、そんなことあるか?と疑っている。
レジが爆発した。
3度も。
仏の顔も3度までっていうやつ?
どうやら私が働き出してからトラブルが多いらしく、「厄病神」として解雇されてしまった。
―理不尽さとこの先の不安に足が止まる。
「残り1500円…」
財布が薄い。
懐が寂しいどころではない。
中身が増えるわけでもないのに、何度も見返してしまう。
私、ワタナベ・ルル16歳は中卒フリーター。
両親は他界し、ずっとお婆ちゃんが育ててくれました。
そんなお婆ちゃんも現在は入院中。
家計は火の車真っ最中。
山火事だよこんなの。
「次のバイト…探さなきゃ…」
―トボトボと歩く。あたりは暗くなりつつある17時半ごろ
「んにゃーぬ」
「ねこ?」
確かに聴こえた。
路地の奥。
ネコチャンがいる。きっと。
―黒い尻尾が奥の方で横切った。
「クロネコちゃんか〜!幸運を呼んでくれたりして〜??」
「クロネコちゃーん?どこかなー?ちゅちゅ〜」
はたからみたら間抜けそのもの。
狭く暗い路地を進んでいく。
ネコちゃんを求めて。
奥は行き止まりになっていた。
「追いついた!ねこちゃ…」
猫ちゃんじゃない!!!
なんだこの子!!!
たしかに身体はネコだけど、
目は3つだし、天使みたいな羽が生えてる。
「あー、疲れすぎてるんだ私」
おかしくなってしまった。
金欠限界と理不尽で、おかしくなった。
―ふと気づくとネコもどきが居ない。
行き止まりの壁には
「めいどさん募集中。時給3000円。寮付き」の求人チラシがあった。
「高!?家賃も節約なる!?」
「メイドか〜憧れるよなあ〜なっちゃうか?メイドさん!でも高すぎない?怪しくない?」
よく見ると場所の記載がカスれて読めない。
「古そうだから、もう無いのかな」
「にゃーーぬ」
ネコもどきだ!
居たんだ本当に!
「にゃぬ」
「ついてこいってこと?」
「でも行き止まりじゃ…あれ?」
壁もチラシも無くなっている。
正直気味が悪い。
が!!時給3000円を見逃せない!
さらに暗く,狭い道を進むと
【めいどかふぇ】
看板と小さな入り口。
「あったんだ、本当に…」
―扉の向こうからメイド服を着た女性が現れる。前髪で片目が隠れていて、ミステリアスな雰囲気。
「おかえりなさいませ、お嬢様」
「あっ、お客さんじゃないです私!その…」
少し驚いた顔をして、態度が和らぐ。
「あぁ、求人を見たのね?」
「そ、そうです…」
片目で全てを見透かされているような感覚だ。
「ここに来れた時点で才能あるね、お嬢ちゃん。早速面接でも始めようか」
「えっ!いまですか!?」
驚いた。展開が早すぎる。
時給といいネコモドキといい、この展開も…なーーーんか全部怪しいなあ。。
「やっぱり遠慮しま」
「帰れるの?ひとりで」
ギク。確かに。ネコモドキがいなければ帰れる気がしない。どこだろうこの路地裏。
「面接、受けてくれたら、お見送りしてあげるよ。中に入って」
言われるがまま,なすがまま。
というか仕方ない。1人では帰れないから。
―店内は普通のカフェのような内装。
客がいない点を除いては、ごく普通。
ホールを抜けて、カウンターの奥、
椅子にかけるとメイドの女性が一言。
「今日はお客様が多くてごめんねぇ」
「???」
「ジロジロみられて嫌じゃなかった?」
「ジロジロ…?え?」
身震いした。
鳥肌全開。
もうげんかい。
ヤバい、ここ。
「居たでしょう?お客様が…」
「いえ、客席は…」
「莠コ髢薙′縺?k縲
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空席に見えた客席に、今見えるのは
所謂魑魅魍魎。
人じゃない。絶対。
ザ!鬼!みたいなやつも、
毛玉の塊に口がついたやつも、
二足歩行のオオカミみたいなやつもいる!
「わ、わた、わたし…やっぱりやめ…」
―気絶してしまった。
「あらあらぁ…。見えたみたいね。お客様。
面接はひとまず合格かしら。
ようこそ私たち【冥土】の世界へ」