動物神拳 食人花習得
アマリさんと別れた後で、僕は自分の甲に生えている葉っぱを見つめて泣いていた。
「なんだ。そんな泣かなくてもいいだろう」
「だって」
「うれしいのはわかるが」
「うれしくないですよ!」
本当に、ミネルさんには、僕の気持ちが正しく伝わらない。
「そうなのか? 五体満足だぞ。失ったものはないじゃないか」
「むしろ余計なものが、増えてますよ」
僕は、自分の手の甲を見てため息をついた。
つやつや光る葉っぱがどうみても自分から生えている。
下手にとろうとすると、多分命にかかわる。
「いいじゃないか、どうせ人としては、繁殖できないんだから、食人花として繁殖すれば」
食人花として繁殖……。
もはや、モンスターに近くなっていっている。
人からすれば討伐対象だろう。
「どうあがいても、僕はもう人類の敵なんですね……」
僕は違和感を感じて、ステータスを確認する。
なにやら、スキルを獲得していた。
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スキル獲得
『食人花に寄生される者』
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うわぁ。嫌なスキル名。
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スキル詳細
『食人花に寄生される者』
効果:常に食人花に栄養を奪われる。
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マイナス効果しかないんですが!?
なんかいつもより、お腹すくなぁと思っていたけど、そういうことか。
ピコンとスキルが反応した。
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『脱兎のごとく』
ほぼ確実に死にそうな時 スキル条件達成!
『脱兎のごとく』スキル発動!
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うわぁああああ。
僕は常に死にそうな状態になった。
「もしかして、僕もうすぐ死ぬ?」
なにこの極悪コンボ。
満たしたくない発動条件を常に達成できている。
「なんか、足がめっちゃ軽い」
ぴょんぴょん。
スキル名らしく、ウサギのようにはねることができる。
「あれ?」
どすん。
急に足が重たくなり、
また飛べなくなった。
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『脱兎のごとく』
スキル条件未達成。
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スキルが発動しなくなった。
そう思っていると、
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『脱兎のごとく』
ほぼ確実に死にそうな時 スキル条件達成!
『脱兎のごとく』スキル発動!
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ぴょんぴょんぴょん。
またスキルが発動する。
「どうなってるの?」
僕が手に生えている葉っぱを見てみると、クスクス笑われた気がした。
もしかして、遊ばれている……?
もしかして、この葉っぱ、意思があるんじゃ……。
ウルラ本人ではなく、なんとなくだが別個体として存在している気がする。
「なんで、そんなこと僕わかるんだろう?」
一心同体。
つまり、心にも寄生されてきている!?
「いやぁあああ」
僕は叫び声をあげた。
「いつのまにか、食人花神拳習得していたようだな。常に相棒と共にいる、これこそが動物神拳だ」
ミネルさんは嬉しそうに頷いた。
ミネルさんの背中で、毒蛇がシャーといって同意してくれている。
「よしよし、これでお前は、食人花神拳、免許皆伝だ!」
「はい! じゃないよ。ってもう免許皆伝!?」
こんなんでいいのか。
めっちゃ雑なんだけど、動物神拳。
大体、拳で戦っているのは、ミネルさんだけで、他のおふたりは、ほとんど操って、動植物に戦ってもらうだけだ。
動物神拳というのに、植物でもいいし、定義も適当。
そもそも葉っぱとまともに、コミュニケーションとれるとは思えない。
「これから、どうすれば……」
僕は途方に暮れた。
転生してから、ずっと途方に暮れている気もする。
「あとは、実践あるのみだ!」
「いや、僕にとってはずっと実践でしたよ!?」
ミネルさんに会ってから、ずっと死にかけてますが!?
もうフラフラ。
今日はもう休みたい。
「む?」
ミネルさんが、急に辺りを見渡した。
「どうしたんですか?」
「どこか近くで空間の歪みを感じた。多分、転生者だ」
「うわぁ。ついに来てしまった」
「よし。ついてこい」
行きたくないけど、行かないわけにもいかない。
僕はしぶしぶミネルさんについていった。