命を守るべき順番
「ちゃんと名乗っておくぞ」
うなだれている僕にエルフが声をかけてくる。
「俺の名前はミネル。絶滅危惧モンスター保護委員会、委員長だ!」
「絶滅危惧モンスター?」
「スライムとかだな」
「スライムが⁉」
どうして、そんな最初のモンスターが絶滅しかけてるの⁉
いや、僕もスライムを殺そうとして、殺されかけました。
殺されかけたというか、生物としては、もう死んでいるといっても過言ではありません。
「スライムが、頑張って何年もかけて分裂して増えようとするしているのに。一瞬で殺しまくりやがって! スライムがどれだけ生態系維持に貢献しているのかわかってねぇ。転生者がスライムを殺すというのなら。俺が全員転生者とかいう外来種は駆除してやんよ」
恨みが天まで届くようです。
女神様聞いていますか。
あなたの心に語りかけています。
あなたが送り込んだ転生者は、魔王と戦うとか以前に全員エルフに殺されているようです。
……。
反応がない。
あなたのことはいつだって見守っていますとか言っていた気がするのに……。
なんの反応もない天空に愕然としながら、僕も名乗ることにした。
「えーと、僕の名前は、鈴木……」
「却下」
却下された⁉
名前却下されたの初めてなんだけど。
「お前は、ペットなんだから、俺がつける」
そんな感じですか。
僕はペットなんですね。
首輪も付けられていますし。
「はい。もうなんでもいいです」
「なんでもいいなら、お前の名前はペットだ!」
「ちょっと待ってください」
「なんだなんでもいいだろう。お前の名前の由来は、すごく深い意味がある」
嘘つけ!
そのまんまじゃないか。
「安直にもほどがあります……」
「なんでもいいって言ったよな?」
「……言いましたけど……なんでもいいとは言いましたけど、適当でいいとは……」
「なんだと、すごい深い意味があるんだぞ!」
「そんなわけないでしょう」
「とにかくお前の名前はペットだ」
さっき持っていたスイッチをちらつかせている。
ちょっとずつ、人差し指が赤い真ん丸に近づいていって
「わかりました……」
僕には、拒否権はなさそうだった。
「よし、名前もついたところで、お前に重要なことを教えよう」
ミネルさんは、目の前のポスターを僕に見せた。
「命を守るべき順番だ」
絶滅危惧モンスター保護委員会
〇保護対象一覧表
魔王:最重要保護対象 現存一人
モンスター:絶滅危惧種 保護対象
人間以外の種族:特になし
人間:増えすぎ、間引く必要あり
転生者:外来種完全駆除対象
どうやら僕は最下位のようです。
そんな気はしていましたが……。
「そうだな。書き加えておこう」
転生者:外来種完全駆除対象
(ただし、去勢した場合のみ、ペットとする)
「これでよし」
「ありがとうございます?」
僕はとりあえず、お礼を言った。
どうやら、最下位ではなくなったらしい。
はあ、僕はこれからどう生きたいいんだろう。
だれか僕に指針を示してほしい。
「よし! これから、お前には、俺とともに、人間どもを殺してもらう」
まるで僕の心の声を聞いたかのように指針が示された。
「うわああああああああ」
僕は転生初日に人類の敵になった。
「特に転生者は抹殺だ!」
「ああああああああああ」
僕は同郷の者を殺さなくてはいけなくなった。
どうしてこうなったんだろう。
女神様見てますか?
絶対見てませんよね?
何してるんですか?
魔王倒すどころか、人間の敵増やしてるんですが?
「うっ、ううっ」
僕は涙を流しながら、ステータス画面を開く。
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LV0
補正効果はまだありません。
スキル
『レベル爆速アップ』
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まだなにも倒していないので、なにも補正が入っていない。
多分転生前の強さと同じということだと思う。
自分の女神様からもらったスキル詳細も確認してみる。
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スキル詳細
『レベル爆速アップ』
モンスターを倒すと、驚異のスピードでレベルが上がる。
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うん?
「あのう。僕がモンスターを倒すとどうなりますか」
「俺がお前を抹殺してやんよ!」
「ですよね……」
僕はもう一度スキルを確認する。
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スキル詳細
『レベル爆速アップ』
モンスターを倒すと、驚異のスピードでレベルが上がる。
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モンスターを倒すと……。
……。
僕のスキルは塩漬けになった。
こんな素敵なチートスキルを持って、転生してみたかったという方も
そうでない方も『ブックマーク』高評価よろしくお願いします。