201
誰も入らない201号室を不思議に思った大家が…
「201」
山中 千
201号室は、空いていた。階段に近い部屋であるはずだが、不思議と空いていた。
大家は、どうしてここだけ?と思い、金額を思い切って下げた。
それでも、誰も、入ってこなかった。
摩訶不思議。
202号室をノックする。
「ああ……大家さんどうかされました?」
202号室の人は、アニメオタクの30代。見た目に気にするのは諦めたとでもいった服装。ボサボサの髪に無精髭、服はヨレヨレの黒。いつもの格好だ。
「隣の201号室のことなんだけど」
「はい」
「なんでこんなに人が、入ってこないか。知ってる?」
「ああ、それは……」
大家は、息を殺して202号室の人の言葉に注意を凝らした。
「幽霊が出るらしいですよ」
「へ?」
「夫に裏切られ、自殺した女の霊が、毎晩あなたを許さない、と言うみたいです」
「えー怖」
「て、事で」
そういって、202号室は、扉を締めた。また自分の世界に、帰っていった。
「こんばんは」
大家が、振り返ると、203号室のOLが手を降っていた。
この子は、可愛いわ、ずっとそう思っていた。
203号室のOLは、買い物袋に今日の自炊用意買った、と思われる食材が入っていた。
「こんばんは」
大家は思わず、笑みが溢れていた。
「どうかされたのですか?」優しい203号室のOL。
「なんてことは無いんだけど…201号室なんで、人が来ないのかなーって思って、そしたらさ202号室が、女の幽霊が出るらしいって」
「それは初耳です。私は、特別な実験のために空けているというふうに伺いました。」
「えー凄」
「ですよね、では私は、これで」
「うん、バイバーイ」
OLは笑い、手を降ってくれた。
気になる。気になる。気になる。
大家は、私は、空手の大会で優勝したことがある、と自分を鼓舞して、201号室に入った。
ついに、そして発覚した。
201号室は、におい、がきつかった……。
ダジャレですううううう