7話 吾輩は初戦である。兎は美味しい。
お久しぶりです。
そして、お待たせしました。
今後もよろしくお願いします。
笑えないホラーを味わってから数日、今日は土曜日である。つまり、休日なのだ。
ならばやることは決まっている。一日中ゲームをする。
ルカはオーラという技を体得し、特撮ヒーローでいうところの必殺技を身につけた。
であれば次は何が必要か。
それは戦闘スーツである。というか、むしろこれが無ければヒーローではないだろう。
しかし、戦闘力を上げる装備はそう簡単に手に入らない。
今身につけている呪いの装備一式もテイムモンスター【レイス】が居てこその装備であるし、見た目もボロボロの皮鎧だ。
これはもはやヒーローではなく盗賊に見えるだろう。
「特撮ヒーローをやる為に装備を手に入れなければなりませんね。師匠、あなたの奥義を大切に使わせてもらいます。」
そう心に誓ったルカは街の北門、つまり雑魚モンスターが集中している草原、通称『初心者の草原』を訪れた。
途次でメニューを開き、ゲーム内では何が出来るのか確認していると、『パーティー』という項目を見つけた。
ルカは未だにソロプレイである為、関係の無い話であるように見えたが、いずれ鈴ともパーティープレイを行うことになると考えたルカは、この項目を開いた。
「なるほど、パーティー内で入手経験値の割合を変えることが出来るのですね。私はソロプレイのはずですが貞子がいるのである意味パーティーを組んでいることになるのですか。」
つまり貞子とルカで経験値割合を考えられるということ。
この時、実験として貞子とルカで:7:3に変更した。が、これから行う戦闘の結果に大きく影響することに本人は気付いていなかった。
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ルカは今、大量の兎に囲まれていた。
「少し残酷ですがこの兎たちは良い経験値になりますね。」
北門を出てからずっと兎に絡まれ、そのたびにシンプルに正拳突きと回し蹴りで叩きのめしてきた。その兎の名前は【ホーンラビット】という。雑魚中の雑魚で、その割に初心者にとって経験値が美味しいモンスターである。
「ドロップアイテムが『兎のお肉』『兎の巻角』『兎の毛皮』ですか。とくに毛皮が多いですね。持ち帰って毛布にでもしたら気持ち良さそうです。」
独り言を言いながら歩いていると、角が二本の兎が出現した。
「レアモンスターですか?ラッキーですね、丁度オーラでも試してみましょう。スキル発動 オーラ:斬」
光を纏った手刀を放つと兎は真っ二つに切れ、ポリゴンとなって消えていった。
あまりの呆気無さにルカはポケーっと気が抜けてしまった。
オーバーキルすぎるのだ。
そしてドロップアイテムは兎マントだった。襟元が白のモフモフで全体は黒の無地、背中に大きく兎が描かれている。決してデフォルメされた兎ではなく、むしろかっこいいともいえる柄だった。ただし裏地には人参が書かれていてちょっと可愛い。
「これは良いですね。今後変身スーツが見つかったらその上に羽織ることにしましょう。
後にこのマントはゲーム内で有名なプレイヤーのトレードマークとなる。
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