存在意義
彼って私の何?
最近、私は彼の存在価値が分からない。
彼は優しいけれど私には物足りない。
いつもニコニコ笑って私のワガママを聞いてくれる。
あなたはそれでいいの?
彼の気持ちが分からない。
彼と私の心は離れていく。
「今日は友達と遊ぶから会えない」
私は彼に電話で言うと。
「分かった」
彼は一言、返すだけ。
彼は私の何?
私は彼の何?
私達って一緒にいる意味があるの?
私の心はどんどん黒くなって悪いことを考える。
彼に私は必要ないのかも。
私は彼と初めて出会った場所で彼と待ち合わせをした。
私が行くと彼はもう来てた。
彼は笑顔で私を迎えてくれた。
最初に出会った日と何も変わらない笑顔がそこにはあった。
「この場所覚えてる?」
「うん。君が泣くのを我慢して座ってた場所」
「あの時は本当にありがとう」
あの日、私は好きな人にフラれてベンチで1人座ってた。
そんな私の隣に黙って彼は座ってハンカチを差し出した。
そんな彼の優しさに我慢していた私の涙は頬を伝って数えきれないほどの粒になって彼のハンカチに吸い込まれた。
「今日はあなたに話があるの」
「何?」
「私達、別れようか」
私の言葉に彼は一瞬驚いた顔を見せその後微笑んで
「分かった」
って言った。
彼は“何で?”なんて言わない。
私の言葉に否定をしない。
「どうして理由を聞かないの?」
「君の顔が苦しそうだから」
「私の顔?」
「君は僕といるとき苦しそうで悲しそうな顔をするんだ」
「私が?」
「そんな顔をさせる為にあの日、君の隣に座ったんじゃないんだ」
「私の為?」
「君が笑顔で幸せに過ごせるなら、僕は君から離れるよ」
彼の本当の気持ちが分からない。
私の為でも、自分の気持ちは?
「あなたの気持ちは?」
「えっ!」
「あなたの気持ちはどうなの?
私と離れていいの?」
「君が幸せなら」
彼は悲しそうに笑った。
嘘!
「私はあなたのそういう所が嫌いなの。
いつでも私を優先して、
いつでも私のワガママを聞いて、
いつでも自分の気持ちを抑えて笑ってる」
嫌いよ。
そんな自分の気持ちを後回しにする彼なんて。
「ごめん」
「そんな言葉が欲しいわけじゃないの」
彼は下を向いている私にあの時と同じハンカチを差し出した。
私は顔を上げて彼を見る。
彼は悲しそうに私を見ている。
何でそんな顔をするの?
私が笑顔になればあなたも笑顔になるの?
「ちゃんと教えて。
あなたの本当の気持ちを」
「僕はあの日からずっと君の隣にいたい。
これからも」
彼はやっと言ってくれた。
「私はもう、あの日からずっとあなたの隣にいるよ。
これからも」
彼って私の何?
それはいつも隣にいて私を笑顔にしてくれる存在。
「私ってあなたの何?」
「僕の隣に笑顔でいてくれないと困る存在」
彼はそう言って私の頬に流れた涙を指で拭って
優しいキスをくれた。
読んでいただきありがとうございます。
誰にでも存在意義はあるはずです。
誰かの為に私がいると思うと嬉しくなりませんか?
一度大好きな誰かに「あなたにとって私は何?」なんて聞いてみてはいかがですか?