第22-0話 古の亡霊
新章 ~ガードン軍 特殊部隊編~ スタートです!
壁面は所々崩れ落ちている。蔦は伸び苔が覆いかぶさった古城。それは誰からも見つからない孤島にあった。
王座の間に人の姿はない。
「朗報だよ。彼女が生きていたんだ。ほら、君を呼び起こしてくれた銀色の魔法使い」
金色の瞳を持つ白髪の魔法使いは天板付きのベッドに腰かけ、そこに横たわる美しい女性の艶やかな黒髪を優しい手つきで梳く。瞼に隠されて瞳の色はわからない。
「あれほど完璧な先祖返りは珍しいよね。だからこそ君を呼び起こすのに使ったんだけどさ。ちょっと強く育てすぎたかな? 久しぶりに会ったのに僕のこと睨んでいたよ。まあ、僕もてっきり死んでいると思ってたけど! ははは!」
しんと静まり返った部屋に魔法使いの笑い声が響く。窓の外では雨が降り、時折稲光が見える。
「今度こそしっかりと彼女が”始祖の家系”なのか調べようか。場合によってはまた彼女を使おう。血は十分にある。記憶は夢を介して手に入れたけどもう少し必要かな? あとは……あとは、何が必要だろう?」
ああ、早く会いたいよ。リーン。
そう呟いて金色の瞳を持つ白髪の魔法使いはベッドに横たわる女性の艶やかな黒髪にキスを落とした。
空っぽな彼女の体に赤くて熱い芳醇な血を満たす。楽しい記憶、悲しい記憶、嬉しい記憶、様々な記憶で彼女を作り上げる。
一人の女性を目覚めさせるために金色の魔法使いは手段を選ばない。
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