第14-0話 過剰
時間は少しさかのぼって、トロックから帰ってきたガードン軍の面々はガードン軍本部会議室にて、トロック襲撃事件および謎の魔法使いについての議論を行っていた。
メンバーは一般第2兵隊からプラトンとトス。
特殊部隊からはアリサー、ユニアス、フェナンド、ネル、ビアンナ。
そして魔法使いであり医師のユリィだ。
情報共有のためにそれぞれが報告し終わるといつも無口を貫くアリサーが早々に口を開いた。
「その魔法使いは白髪で金色の瞳、ゼオと名乗ったんですか?」
「ああ、そうだ。アリサー隊員、知ってるのか?」
プラトンが訝し気に聞き返す。
他の隊員たちも珍しいものを見る目でアリサーに注目した。
「……いいえ。確認しただけです」
プラトンはそうか、と相槌を打つと口外禁止だと強く念を押してある情報を伝えた。
「そのゼオという魔法使いは、蒼い炎を使う魔法使いだった」
その場にいなかったフェナンドとネルは息をのみ、ビアンナはわーお!とつぶやく。魔法使いであるユリィは深くため息をついた。
「そっ…の場に、……いえ、その蒼い炎を見たのはいったい……誰ですか」
わずかに震える声でアリサーが質問をする。
自分では冷静を保っているつもりだろうが、ここにいるほとんどの者がアリサーの変化に気づいていた。
「……その場にいたのは、俺とユニアス隊員、それと嬢ちゃん、ソルティア・カーサスだ」
「っ……」
それを聞くや否や、アリサーは会議室を出ていこうと席を立つ。
「どうしたんです、アリサー隊員」
トスがアリサーを呼び止めるがアリサーはそれには答えない。
しかし、
「彼女なら病室でまだ寝てるわ」
アリサーの動きが止まる。
ユリィがアリサーに向けて話しかけたのだ。
「……」
それを聞いたアリサーは大きく深呼吸をすると、会議室を出ていった。