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賢者と呼ばれた怪盗K 〜 二度目のタイムスリップ先はあの時代の本能寺だった

作者: 夕凪ナギ
掲載日:2019/07/10

 パチパチと火花が飛び散り、キンッとかち合う金属音、火矢、そして怒号が飛び交っていた。


(また時を超えたのね……今度はどこ?)




 私は、とある怪盗の末裔だ。魔力を秘めるという宝玉を狙ったときに失敗した。妖しい光に包まれ、時を超えてしまったのだ。


 タイムスリップした先には科学はなく、魔術が発達していた。私は、賢者と呼ばれるようになった。


 宝玉に触れたことで、そのエネルギーを吸収し、私は魔法使いになってしまっていたのだ。



 私は、戻る方法を何年も探していた。


 そんなある日、再びまた時を超えてしまったのだ。


 この時代も争いが絶えないのか。だが……ここはもしかすると…。




「女、何者だ? どこの間者だ?」


 私が振り向くとそこには、面長で鼻の高いイケメンが正座していた。なぜか白装束にちょんまげ頭。脇差を畳の上においている。


「もしかして貴方、織田信長?」


「ならばどうする?」


 そう言うと、その男は立ち上がり、スッと長い刀を抜いた。


(これ、戦国時代確定!)


「ここって、本能寺?」


「奇妙なことを言う女だ。記憶でも失ったか?」



 遠くで、お屋形様〜と叫ぶ声や、探せ探せと怒鳴る声が聞こえる。そして火がゴウゴウと音を立てて、燃え広がっていた。


「ちょっと、時を超えてしまったのよね。人生五十年っていう時代かしら?」


「ほう? わしはもう五十までは生きられぬがな」


「いまは1582年?」


「は? 天正十年だが?」


「あ、そっか元号を使うんだ」


「つくづく妙な女だな。亡者か何かか? わしの最期の邪魔だ。成敗してくれよう」


 そう言うと男は刀を構えた。


 私は魔法で彼の動きを一瞬だけ封じた。


「な? 何をした? 化け物め!」


「やーね。私は怪盗Kよ。賢者とも呼ばれていたわ」


「何をわけのわからぬことを!」


「そんなことより貴方、もっと広い世界を見てみたくない?」


「南蛮のことを言うておるのか?」


「ヨーロッパのこと? まぁそうね」


「もう遅い。わしは討たれるのを待つ身。だが、討たせてなどやるものか」


 そう言うと、男は持っていた刀を投げ捨て、畳においていた脇差を手に取った。


「もしかして自殺する気?」


「自分の最期は、わし自身で決める」



 さすがに目の前で、腹を切られるのはちょっと…。



「わかったわ。私が貴方を盗んであげる」


「は? 何を…」


「行き先は、オランダあたりでいい?」


 私は、その男を連れ、燃え盛る寺からヨーロッパへとワープした。




 そう、だから信長公の遺体は、本能寺で見つからなかったのだ。





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― 新着の感想 ―
[一言] 短編なのが惜しい…( ̄▽ ̄;) でも歴史物は突っこみも激しいしなぁ… このままの時代じゃなく異世界か現代に移転なら 突っこみもかわせるんだろうな 次は龍馬でも救ってみる? もれなく中岡慎太郎…
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