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20.魔獣狩り

 家へ帰り、チーム戦の結果を伝えるとヒュペリオンは喜んでくれた。


 ヒュペリオンのローブのおかげで助かったことを伝えた。下半身が燃えて裸になった話に笑っていた。


「カトブレパスの革と魔木の繊維で作ったローブは魔法を防げただろう?さすがにそのレベルのは入手が難しいが、ズボンも同じように作らないとな。ディアントス達と魔獣狩りの約束をしているんだろ?最初は俺もいっしょに行こう」



 国の魔防壁を張る宮廷魔導士に魔獣の出現情報を確認してから狩りに出かける。


 今日は近隣に強力な魔獣の出現もなくて、俺達でも問題ないようだ。



 体毛が白く、赤目でウサギのような小さい魔獣『リープス』を練習相手に俺たちは戦った。


 リアンサスとディアントスは、身体強化無しでもリープス相手なら問題なさそうだ。


 セレネは魔法弾の速度もまだ遅くて当てるのに苦労している。


 アキレア王女は、身体強化を使いつつ弓で狙いを定めているが、なかなか小さなリープスには当てられない。後方からでも攻撃できるように弓を覚えたいと持ってきた。


 俺は使えるようになった風魔法を放つがイレックス達を倒したような威力が出せない。



「何かきっかけがいるんだろうな」


 俺は考えた。イレックス達へ風魔法を放った時の気持ち。そして、今、風魔法を放とうとすると人の腕がねじ切れた姿が思い浮かび躊躇してしまう。


 ため息をつき、ぼんやりと眺めるとリアンサスとディアントスが仕留めたリープスを手際よく解体している。


「あいつら覚えがいいな。教えたばかりなのに魔石にも傷を付けずに取り出せているようだ」

 ヒュペリオンが満足そうに眺めている。


 くやしいので、俺も身体強化して剣でリープスを狩ってていく。いくら動いても魔力切れにならずスピードが落ちないので簡単にリープスを狩れる。


 気づいたら一番多くリープスを狩っていた。


「私もリープスを狩りたいけど魔法をどう改良したらいいのかな?ヒュペリオンおじさん教えて」


「今のセレネの水魔法だと密度が足りずに弱すぎる。チーム戦の特訓の時にも教えたけれど小さくして密度を上げないと」


「上手く出来ないの」


「弓矢とか剣とかイメージしてみるのはどうだ?」


「やってみる」


 弓を練習するアキレア王女の横でセレネも練習を始める。


 俺はリープスを解体しながらセレネの様子を見ていたが上手くいっていない。


「横で見ててもイメージしにくいし当てれる自信がない!他の試してみる!」


 そういってセレネは右こぶしを握り軽く剣をふるうように腕をふった。


 淡い水色で半円状の魔力の塊が放出され木を切り倒した。


「やった!包丁で料理するのをイメージしたの!」


「あとは、魔獣の動きを読んで当てられるようになると戦力になるな。よし!リープス以外の魔獣も狩ってみよう」


 そう言ってヒュペリオンは、俺たちを連れて針葉樹の森の奥へと進んでいった。


 薄暗い森の奥に黄色く光る眼がいくつも見えた。


「迎撃するぞ!」


 ヒュペリオンの言葉に皆がかまえた。


 大型の狼のような獣が何頭も走り迫ってきた。

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