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悪魔は無自覚に愚者を選ぶ

 1920年5月11日 ミュンヘン ホーフブロイハウス


 今日の演題は「どうしてドイツにはユダヤ人はいらないのか!」である。

 彼らの存在はドイツにとって無駄であり、切り離さなくてはならないものということを講演した。

 これは党首ドレクスターより学んだ部分で、ユダヤ人が構成員にいる場合には社会主義の大きな障害になるというのが理由である。

 大まかでそしてわかりやすくするため、演説内容は若干の誇張が入ったが以下のようなものである。


 他の国々と比較してドイツは社会保険の充実は群を抜いて高い。

 疾病保険しかり国民年金しかり労災保険しかりドイツ帝国が、先鞭を切って導入した優れた制度である。

 これらの制度のおかげで国民は安定した生活基盤を手に入れられ、血税(兵役)を払うことに伴う不利益をこうむることなく強国を維持してきた。

 比較するにユダヤ人はそれら社会保険に参加し、かつ自らのネットワークを維持することで、他のドイツ人にしてみればただ乗りに近い形で社会保険を使うことが出来る。

 たとえば疾病保険だが少なくない数の医者がユダヤ人である。

 ユダヤ人がユダヤ人を診察する際に金銭を受け取らずに診察しても判りようが無い。ユダヤの教義の隣人の財産を欲してはならないに該当するからである。

 しかし疾病保険の保険負担部分に関しては請求しても教義上はまったく問題が無い。

 こうすることで医者は飢えることなくユダヤ人は金を払うことなく病気を治してもらえるわけである。

 国民年金は友人の金融業に預けたほうが安心かつ高利回りであるため最初から参加しない。

 労災保険についても多くが兵役での負傷であることから兵役を回避しがちなユダヤ人、彼らは財務系官僚としてプロイセン王国の頃から有名だった。近年だと国債資本のロスチャイルドが国債発行に関わったので有名である。

 高収入の者が参加しない社会資本はどうしても保険料率が高くなる。

 財政に余裕があるならばなんとか運営は可能だろうが、第一次大戦を乗り越えたばかりの今ではいずれも瓦解寸前の制度である。

 負担は可能な限り減らすべきであり、ドイツにしがみつく必要ないユダヤ人は排除すべき存在なのである。なぜならドイツ国民に向けて作られた社会保険を使っていいのはドイツに忠誠を誓うドイツ人だけであり、戒律の遵守が第1にくるユダヤ人はドイツ人ではないのだから

 他には金貸しをしているユダヤ人が困窮した家庭から借金を取り立てるとき相手をどのような存在としてみているかを示唆してみたり(だからキリスト教徒には金貸しができないのだとか)

 ディアスポラと呼ばれるユダヤの集団は、我々の教区に該当するものだがシナゴーグと呼ばれる教会を中心にがっちりと固まっている。

 シナゴーグでは宗教だけではなく日常の問題解決、冠婚葬祭まで全てが話題にでる。

 この辺がキリスト教徒の教会と大きく違う部分だ。


 彼らはシナゴーグを中心に国土の無い国民を名乗っている。

 けして現在すんでいる場所を自分の国土ということは無い。

 国土で無いならばなんなのか?

 それは旅の最中の通りすがりの土地であり、露天商がときおり店を出す場所程度にしか愛着のない土地なのである。

 そのような人間にその土地を自分のようなものとして愛する心が発生するであろうか!

 いいや、ありえない!!

 そういう考えの人間には自分達にふさわしい高尚な場所に移動してもらおう。少なくともドイツ国内にそのような場所を私は知らないし、ないと断言できる。

 聴衆の皆さんも周囲のユダヤ人の挙動を注視しましょう。

 皆さんの監視が彼らにとってもっともありがたくない贈り物なのだから。


 この回の聴衆は2000人、全員が納得し深く考え込んでいた。


 なぜ自分達がユダヤ人を嫌いなのか、宗教や感覚だけでなく、理論を与えられたことは心の負担を軽くする効果があったようだ。


 演説後にはいつもより多くの感謝の言葉が降ってきた。


 中には暴力的な排除を叫ぶ聴衆もいたが、それについては自由・博愛・平等を詠うワイマール共和国では犯罪だと嗜めておいた。

 周囲の聴衆もこちらに同調していたので大事にはならないだろう。

 なんといっても上流階級は暴力事を嫌うのだ。

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