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第69話・全速前進!!

 島が完全に魔王城へたどり着く同時に、鳥型モンスター達はタカオ達を見つけて攻撃を仕掛けてくる。ロンサムは地面に降りて元の状態に戻っている。



「ロンサムさん、ありがとう」



「気ぃつけてな~」



 彼に別れを告げてから風の精霊へフォームチェンジを行い、エヴァンを連れて一気に山の麓へ戻っていく。クレアも翼を広げ、タカオ同様にターニャを連れて飛行している。地上へ降りると、そこにはすでに鳥型モンスターが数をなして待ち受けていた。



「ウオオオオオオ!」



 地面に降り立つと同時にターニャは力を解放し、クレアは大声で叫ぶ。



「あんな数、ぜんぶ相手にするなんて七面倒よ! 私にフォームチェンジを掛けなさい!」



 タカオは彼女の声に応え、すぐに風の精霊のフォームチェンジを彼女に掛ける。みるみるうちに風に包まれていき、徐々に繭の糸がほどけるように風が消えていく。中からは鎧に身を包んだクレアが登場する。手の杖も剣に変わっており、その姿はさながら戦乙女だった。



「はああああああああああ!」



 クレアは呪文を唱えてもいないのに、剣を振るだけで風魔法を発生させる。しかもそれは初級レベルのものではなく、リヴァイアサン戦で見せたような上級呪文だ。大きな竜巻が敵グループを巻き込み、一気にその数を減らしていく。



 クレアが切り開いた道を走り、すでに開いていた門から魔王城へ足を踏み入れる。そこは大きなエントランスとなっており、さらに奥に大きな扉があった。

 タカオ達が近づく前に勝手に開き出し、その奥には仮面を付けた人型モンスターが群を成していた。パーティ一行を見つけるとまるでロボットのように足並みをそろえ、一気に突撃を掛けてくる。



「面倒だな、一気に数を減らせないぞ……」



「今度は俺かねえ」



 タカオの言葉にエヴァンが答え、歌を口ずさみ指輪をトライデントへと変化させていく。



「お、おい! 雷なんて当てたら中の人が……」



「とりあえずタカオ、適当でいいから水をあいつらの足元に発生させてくれない? ほんとうに薄くていいぜ」



 まあ見てろよ、という合図なのか目をウインクしてから前に出る。俺は彼のいうことを信じ、水の元素魔法で「スプリング」を唱える。彼らの足元からシューと音を立てながら水が噴き出し、足元はすぐに水浸しになる。



「オッケーだ、タカオ! それじゃみんな、少しシャンデリアで遊ぼうか!」



 天井を見ると、人が乗れるぐらい大きなシャンデリアがあった。それに向かってターニャがジャンプし、タカオはクレアに手伝ってもらって空中に飛びあがる。

 シャンデリアに移った俺たちを見てから、エヴァンは敵陣に向かって雷槍を投げ入れる。すると、地面に張られた水を伝って電気を伝って敵モンスターが感電していき、次々と気絶していく。



 完全に電気が引いたのを見計らい、シャンデリアから降りていく。



「あんた、このモンスターは人が元になってんのに……。無茶するわねえ」



「今は仕方ないだろ。それに、死なないように配慮はしたつもりだぜ」



「よし。それではいくぞ」



 ターニャが室内にある階段を指さし、二階へ行くことを促す。俺たちは駆け足でその階段を上ると、二階は玉座の間となっていた。そこには白いローブを羽織り、杖を携えた人間が座っていた。しかし顔はクレアのときと同じく黒ずんでおり、目も異様に赤く光っている。



「こいつは……」



 タカオの言葉に答えることなく人間は立ち上がり、何か呪文を唱えて放ってくる。その呪文は雷で、四元素にはないものだった。



「あれは、もしかして神!」



「本当か、ターニャ?」



「ああ。顔こそ判別できないが、あの恰好は魔王となる前の神そのものだ」



 ターニャは解説を終えると同時に突撃する。その間も容赦なく神は雷撃を唱える。何とかその攻撃を回避するも、その一撃は城の壁を簡単にえぐっており、一撃も喰らうわけにはいかない。



「でも、どうして神が?」



「私を二つに分けたときと同じよ。自分の中にある不要な要素を取り出し、足止め用に使ったのよ」



「神を侮辱する行為、許すまじ!」



 怒りに燃えるターニャは神に向かってハンマーを振るう。神も杖を巨大化させて対応するも、ターニャの力に対応できず、簡単に姿勢を崩してしまう。



「お前のような前座に!」



 ターニャは姿勢を崩した神の顔面に向けて、テッシンから受け取ったオリハルコンハンマーをぶちかます。



「構っているワケにはいかないのだ!」



 その攻撃は神と一緒に玉座を吹き飛ばし、後ろにある壁は弾丸となった神を受け止めることができず破崩壊してしまう。神に匹敵する一撃に神モドキは簡単に撃破され、身体から黒い霧が吹き上がる。身体を支えていた中身が無くなることで、宿主を無くした衣類が虚しく空中を舞う。



「ふう……。さて、これで前座は終わりか?」



「でも、ここからつながるドアも階段もないぜ……。意外と神の城っていうのも簡素なものだな」



 仲間たちがいく場所が無くて困っている中、タカオはターニャが壊した玉座や壁を確認してみる。すると、壁の外には白い階段が空に向かって続いているのが見える。その階段を目で追うと、空に浮かぶ島々が見えた。タカオの様子に気付いたクレアが近づいてくると、それを見てつぶやく。



「あれは、神の庭……」

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