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第46話・リベンジマッチ

 グリフィスのいる教会から、エレノアと闘った神殿跡は歩いてすぐに辿り着くことができた。神殿跡に行くとエレノアが立っており、タカオ達の出現を予見していたように振り返ってくる。



 エレノアの顔は鳥のような毛で覆われ、過去の映像で見たようなハーピィに近いものになっていた。背中からは片翼の羽が出ており、さらに足は鷲のような猛禽類のそれとなっていた。



「……ふん。仕損じたか、クレア」



「最後にツメが甘いところは、ほんと敵キャラっぽいわね。あんたが捜索して、タカオ達を倒せばよかったのに」



「安い挑発方法なものだ。お前みたいな人形、いつでも支配できる!」



 エレノアは再び、クレアに向かって青い糸を伸ばしてくる。タカオが前に出てガードしようとするも、片翼の羽をクレアが出すと同時に風が巻き起こる。その風は刃のような切れ味を持っており、エレノアが飛ばしてきた糸をいとも簡単に断っていく。



「風の力、あんただけのものだと思わないで」



 自分の思い通りにならないことに歯ぎしりを見せながら、エレノアは地面を蹴り上げて突進してくる。攻撃に合わせてすぐに散会し、水のフォームチェンジをタカオは用意する。隙ができた彼をエレノアは標的にするも、エヴァンとターニャが二人でフォローする。



「今度は!」

「簡単に負けんぞ!」



 すでにフルパワーのターニャがエレノアを押し返すも、空中でバックターンを決めて体勢を整え、風の斬撃を飛ばしてくる。その風をクレアの魔法が相殺し、エレノアは彼女に対して直接攻撃を仕掛ける。



「お前のような半端ものに!」



「あなた、本当はデニスを助けたかったんでしょ」



 クレアの言葉に動揺したのか、彼女は攻撃の手を緩めて一度距離を取る。その間に、タカオはすでにフォームチェンジを唱え終えていた。



「なんだ、タカオ。貴様は仲間に戦わせるだけで何もしていなかったのか」



「バカ野郎。精霊の力を体にまとえるのは、お前だけじゃないんだぜ」



 タカオの言葉にいぶかしい顔をするも、頭上から聞こえる音にエレノアは素早く反応してバックステップする。彼女が避けたところに何かが勢いよく落下し、土煙を巻き上げる。



 砂の膜が消えると、上半身は皮をなめして作られた青色の鎧で、下半身のズボンは赤い布製の腰当に変わり、全体的に剣闘士のような姿になっていた。そして、顔には目元だけを覆うマスクが装着され、その端は魚のひれを模した飾りが付いている。



「貴様……。その恰好は」



「不思議だねえ。この格好ならあんたに負ける気がしないよ」



 エヴァンはすぐに剣で応戦せず、指輪をエレノアのほうへ突き出す。呆気に取られていると、彼は戦場で歌い始める。



「どこまで人を舐める気……がっ!」



 攻撃を加えようとするも、エレノアの動きが止まってしまう。エヴァンの腰当は段々と彼の脚を包み、最終的には魚の尾ひれへと変貌した。

 さらに指輪から人魚の霊が現れ、二人は声を合わせてを歌い始める。一度クレアに放った解呪の力はそこまで強くない。だが、フォームチェンジによってエヴァン自身が人魚に近づくことで、この解呪の力を最大限に引き伸ばすことに成功したようだ。



 フォームチェンジによって引き出された解呪の効果は絶大で、歌が満ちていくことでエレノアの動きは完全に止まってしまう。さらに身体から瘴気が立ち込め、その瘴気は徐々に鳥の形を取り始める。最終的には空を覆うほどの怪鳥となって俺たちの前に姿を現した。



「タカオ、あれが風の邪霊・ジズよ!」



 邪霊が出現したところでエヴァンは歌うのを止め、フォームチェンジを解除する。肩で息をするエレノアを前に、やっと対等になったと実感する。

 エレノアの姿は普通の人間に戻るも、片翼は未だに付いたままだ。地面から飛び立とうとする虫のように羽を動かしながら、至って普通の剣を握り直す。



「クレア! お前!」



「エレノア!」



 二人はお互いの名前を叫びながら、正面から衝突し始める。タカオが残った二人の顔を見ると、すでに戦闘態勢は出来上がっていた。風の邪霊・ジズの雄叫びによって空気を震わせる中、三人もその巨体に向かって突撃する。

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