夏、新宿花薗神社にて♡
『聖天女!!!』
迸る光のシャワー。鳴り響く電子音の非常ベル。
千勢ハル、伊月アキラ、そして、妃旗エル。
彼女たちは、両手を胸の前で交差させるとそう叫んだ。
瞬間、彼女たちの全身に光の螺旋が走る。
突然に風をはらみ、その場に浮上するカラダ。
そして、螺旋の亀裂に破裂する七色の瞬き。
奇跡は、彼女たちが身に纏うもの全てを引き裂いて姿を現した。
僕の目の前にある生まれたままの三人の姿。
それぞれの裸体を中心に層を成して双方向回転するリボンリングの瞬き。
描かれる光の球体に、まるで立体魔法陣のように瞬く光のモザイク模様。
それは、彼女たちの露わな肢体を僕の視線から遮るよう淡く色を変えていった。
そうして、最後に一際大きな閃光を放ち、収束する光の渦が消えた時。彼女たちは究極の美少女乙女戦士聖天女へと新たに変身を遂げた。身に纏う淡いピンクとブルー、ラベンダーに彩られたパステル調のボディスーツ。それは夢可愛いくも、戦いに身を費やす病みを孕んだ淡彩のバトルスーツだった。
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⋘ 登場人物 ⋙
【千勢ハル(ゆきせ はる)】♀
♥年齢:16歳(2049年9月29日生)
♥血液型:A型
♥身長:162cm 体重:非公開 BWH:非公開(たぶんE/筆者談)
♥華奢なカラダに豊満な色白スレンダーボディ
♥黒髪ショートボブの色白小顔
♥子猫のように愛くるしい瞳
♥薄く真一文字に結んだ理性を感じさせる唇は若干アヒル唇
♥基本真面目でクールな性格だが、思わずオチャメな所が出る
♥東京都杉並区阿佐ヶ谷の高校に通う高校二年生
♥古徳将と中学・高校が同じ
♥生徒会会長
♥学力優秀。運動神経抜群。
【伊月アキラ(いづき あきら)】 ♀
♥年齢:17歳(2049年8月21日生)
♥血液型:O型
♥身長:165cm 体重:非公開 BWH:非公開(たぶんF/筆者談)
♥くびれが美しいダイナマイト・ボディ
♥ロング・ストレートの髪は亜麻色
♥大きな瞳に長めのまつ毛
♥ややポッテリした唇は若干アヒル唇
♥明るく強気な姉御肌だが、実は乙女
♥東京都杉並区阿佐ヶ谷の高校に通う高校二年生
♥古徳将と幼馴染。小・中・高校が同じ
♥生徒会副会長
♥学力は・・・。スポーツ万能。
【妃旗エル(ひばた える)】♀
♥年齢:17歳(2049年6月19日生)
♥血液型:A型
♥身長:158cm 体重:非公開 BWH:非公開(たぶんD/筆者談)
♥小柄なカラダに似つかわしくないセクシーロリータ・ボディ
♥赤毛ツインテール
♥眼鏡っ子
♥おちょぼな感じも若干アヒル唇
♥ほんわか天然の天真爛漫な性格
♥東京都杉並区阿佐ヶ谷の高校に通う高校二年生
♥古徳将と高校が同じでクラスメート
♥生徒会書記長
♥学力は学年トップ。運動はやらず嫌い。
【古徳将】 ♂
♥年齢:17歳(2049年8月21日生)
♥血液型:B型
♥身長:173cm 体重:60kg
♥細マッチョ
♥くせ毛の黒髪ツーブロックマッシュ
♥一見気弱に見える優男
♥もともと醤油顔だが、夏なので日に焼けてます
♥実は正義感が強く熱い性格だが、しばしば不真面目さが祟る
(高校生らしく、ちょいエロ)
♥東京都杉並区阿佐ヶ谷の高校に通う高校二年生
♥帰宅部(マンガ・アニメ・ゲーム・映画・ニコ動好き)
♥学力テストでは20位/400人前後
♥スポーツ万能(ただし水泳は苦手)
【その他】
♥TOKIO・GAME・SHOW 2065 リコール・ジャパン社・特設ブースのMC
♥ヘリで叫ぶレポーター
♥新宿駅東口を行き交う大勢の人
♥喫煙所でタバコをふかしていた休日出勤のサラリーマン
♥待ち合わせのカップル
♥交番のお巡りさん
♥ドラゴンのみなさん
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それは僕が、まだ何も知らなかった平穏な17歳の夏の日に遡る……
♥♥♥
「皆さんコンニチハ。TOKIO・GAME・SHOW 2065 リコール・ジャパン社・特設ブースへようこそ!
今回、皆様に御紹介するのは、当社が満を持して開発した新商品。思い通りの夢を仮想現実体験できるドリーム・バーチャル・リアリティ・ガジェット、そのシリーズ第三世代機【Dream Lift / ドリームリフト】です。
皆さん、こんな経験をしたことはありませんか?
例えば、好きなアイドルやタレントが夢に出て来て恋に落ちる。ところが、夢の中でもナ~ぜか上手くいかない。
例えば、寝る前に見た映画のような世界で、自分がヒーローやヒロインで登場。自分の夢の中なら俺TUEEEEの筈なのに……。
実は、それらマイナス面も皆さんの深層心理が関係しているのです。見たい深層心理があるように、それを否定する深層心理があるのです。
今回、我が社が開発した最新のDVRG【Dream Lift】は、
*そんな上手く行く筈は無い
*美味しい話がある筈は無い
そういったマイナス深層心理を業界最高値の99%ブロックする事に成功しました!
結果、これまで満足のいくことの無かった夢仮想現実世界を、より自分好みの設定で構築し、より自分好みのストーリーで展開させ、より自分好みの結末を迎える事が可能になったのです!
使い方もいたって簡単。
Step1.この究極まで小型軽量化されたヘアピンのようなヘッドセットを装着したら、スマホサイズの本体ディスプレイをスワイプして設定画面へ。
Step2.夢仮想現実世界設定を、異世界・スペースオペラ・近未来に現代、ヨーロッパの中世に日本の時代劇、およそ15000ヴァリエーションの中からツリータグ検索。
Step3.ストーリー設定も、毎日更新されるファンタジー・SF・ラブコメ・ドラマ・アクション、ホラーにミステリー。その無数のヴァリエーションの中からツリータグ検索して選択するだけ。
Step4.最後に画面に表示される【Lift On】マークをタッチしたら貴方も理想の夢の世界へ!
更に、【Dream Lift】はオートメイキング機能も充実。
各設定でFREEを選択。画面に現れる3つのリクエスト・ウィンドウ。そこにあなたの希望を直接入力。またはパソコンやスマホからデータ転送してカスタマイズが可能!
例えば、好きなアイドルの写真を転送入力。 プライベート・リクエスト!
例えば、スーパーマンのように空を飛びたい。 アビリティ・リクエスト!
それらは機械学習処理機能によって、あなたの夢に直接反映されるというワクワクなカスタマイズ!
そして最後に、これらの操作は自然言語処理機能によって音声操作だって自由自在! さあ、あなたも理想の夢の中へ! それでは、皆さま御一緒に!」
『Let's , Lift On !!』
♥♥♥
この画期的なドリーム・バーチャル・リアリティ・ガジェット【Dream Lift】は、世界中で大ヒットとなった。2066年現在での総販売台数は700,000,000台を超え、子供から大人までの殆どが当たり前のように所持し、その自由な夢に願望と欲望を投影し興じた。
それから間もなく、僕が住む街である東京でも驚くべき事件が起こった。
夏。ある晴れた日曜日の午後。それは突然だった。新宿アルタの屋外大型ビジョンに、臨時ニュースを通して信じられない光景が映し出される。
ヘリに搭乗し、泡を吹くように叫ぶレポーター。
「み、皆さん、皆さん御覧下さい! あれは、まるで神話に登場するドラゴン。ドラゴンではないのでしょうか!? 私は今、新宿上空にいます! これは、これは現実です!」
――えっ!?――
いつものように新宿駅東口を行き交う大勢の人の波。しかし、誰もが足を止め、空を見上げて呆然とした。
北西から突如として現れ、空を過る黒い巨大な塊。それは太陽の光に色濃く影を落とし、新宿通りを南東へと抜けた。時折に羽ばたくそれは、回遊するかのように三丁目交差点で左に旋回した。
その飛行物体を上空から追う映像が大型ビジョンに映り続ける。喫煙所でタバコをふかしていた休日出勤のサラリーマン。待ち合わせのカップル。交番のお巡りさんも声を失ってた。
家電量販店前にいた僕はと言えば、あまりの出来事に茫然自失 。買ったばかりの【Dream Lift】を手元から落とした。
その時だった。駅ビルを越えて一線、東口駐車場上空に小さな影が現れる。空中で停止したそれは、仁王立ちに身構え黒髪を緩やかに散らし靡かせた。黒いボディスーツを身にまとう人影は、その|シルエット《胸の豊満さ(*´艸`*)ムフッ♥》を見る限り人間の女性とも思えた。顔までは良く見えない。
――な、なんだ?――
そして、靖国通りからガード西、再び新宿通りへと円を描く様に回り込んできたドラゴン。それは彼女目掛けて咆哮を上げると襲い掛かった。しかし、その|女性らしき人影《ナイス・ボディ(*´艸`*)ムフッ♥な》は、微動だにすることなく迎え撃った。
瞬間、白く眩い閃光を放つ彼女の両手。
その翳す光に包まれるドラゴン。
ぶつかり合う輝き。
伸し掛かる衝撃を彼女の両の掌が押し支える。
弾け飛ぶ光線が中空でせめぎ合う。
次の瞬間。光は再度一点に収束すると跡形もなく消滅した。そこにはドラゴンも彼女の姿もなかった。あたりは静けさに包まれ、それから間もなく人々のどよめきへと変わった。
「……」
夢か幻か? その宙を見詰めたまま、放心状態の僕は足元に転がる【Dream Lift】を拾った。
♥♥♥
僕の名前は古徳将。東京は杉並区の高校に通う、普通の17歳だ。
その日。僕は友人たちとパワステというライブハウスでコンサートを見る為に新宿で待ち合わせていた。そのついでに最新のDVRGを家電量販店で購入。矢先のアレは出来事だった。
待ち合わせ時間には程遠いというのに、何故か僕はライブハウスへと向かっていた。人間と言うのは理解を超える状況に出会っても、その出来事を何とか理由を見つけて納得したがるものだ。
「あれはきっと、アリゾナのフェニックスに現れたようなUFOが、たまたま新宿に現れたようなモンだろ……」
僕は呟く。
「そう、南米で目撃される吸血UMAのチュパカブラが、たまたま新宿に現れたようなモンだ……」
ブツブツと呟く。
「いや、神撃の巨人と魔法少女がサイコパスでバーストリンクして……」
やはり僕は動揺していた。
そんな呆然自失のまま靖国通りから近道である中通りへと入った。そこは繁華街の外れにある花薗神社へと通じる裏道だった。
神社を抜けるとライブハウスは目と鼻の先だ。そばには夜の歓楽エリアであるゴールデン街がある。さすがにこの時間帯は人通りが少ない。この方向から境内へ入る細道は尚更だ。
ブツブツと呟いたまま、僕は人気のない鳥居が並ぶ石畳を歩いた。そして、境内への入り口にある山車庫の通りすがり。何気に視線を向けた物陰。再び彼女と遭遇する。
「えっ!?」
固まる僕。
「えっ!?」
目を丸くした彼女。
そこに居たのは隣のクラスの女の子。千勢ハルだった。しかも彼女は、まるでアメリカンコミックのキャットウーマンのようなボディスーツ(よりは些か重装備?)を身に纏っている。猫耳フェイスマスクの代わりに古いDVRG的な大ぶりのゴーグルを頭上に乗せているが、それはそれで猫耳みたいだ。
|全身黒ずくめ《体の線が出まくっている(*´艸`*)ムフッ♥》のそれは、まさしくあの新宿アルタの空に見た彼女のいで立ちそのものだった。
そして、まばたき程の瞬間。千勢は(私服だろうか?)黒のボディスーツをセーラーに似たマリンブルーのワンピースに、ミリタリー・ゴシックなブーツを水色ドット柄リボンのついたウェッジソールに、夢可愛いとでも言うか、17歳の女の子らしい姿へと《《変身》》した。
再び驚きの声を上げる僕。
「えっ!? ……えええええっ!!」
と同時に、その余りにも夢可愛らしい彼女の姿《ミニスカート(*´艸`*)ムフッ♥》に僕は見惚れた……。
♥
千勢ハル(ユキセ・ハル)。彼女は僕の通う高校でも三本の指に入る美少女だ。色白の小顔に真っすぐの黒髪。子猫のように愛くるしい瞳。薄く真一文字に結んだ理性を感じさせる唇は若干アヒル。スラッとしたスレンダーなボディに出るトコは出て、しかも……。いや、ここまでにしておこう。
とにかく、平たく言って、かいつまむと、そう、僕の憧れのマドンナだ。同じ中学に通い、初めて千勢を校舎玄関の下駄箱で見かけた瞬間。僕は恋に落ちた。お堅い感じはしないが優等生であるのは間違いない。学力優秀。スポーツ万能。で、何より我が高校の現生徒会長でもある。
彼女は仲のいい友人二人と常に一緒にいる。強気な副会長の伊月アキラ(イヅキ・アキラ)。ほんわか天然書記長の妃旗エル(ヒバタ・エル)。彼女の立ち位置は、二人を取り持ちまとめる丁度真ん中。また、その二人が可愛い。皆、若干アヒル唇で……。ま、それはおいおい語るとして。
突然の出会いと言えば聞こえはいいが、むしろ、このタイミングでの出会いは、予期せぬ遭遇と言った方がシックリくる。
互いに見てはいけないものを見たような空気が漂う中。千勢が先に口を開いた。
「ショウ君、だよね? 今の、見た?」
「えっ!? あっ、はい……」
「そっか……」
バツ悪そうに僕の出方を伺う上目遣い。彼女が言う。
「とりあえず、内緒にしてもらってイイ?」
「えっ!? はい、もちろん……」
二つ返事の僕。
「そっ、そう。よかったぁ」
あの友人たちといる時の屈託のない笑顔が千勢に戻る。何故だか僕もホッとする。二人同時に笑顔が零れた。
「ところで、ショウ君」
「あっ、はい」
何気に笑顔で話しかけてくる彼女だったが、僕の心臓はバクバクしてた。
「その手に持ってるのって、もしかしてDVRG?」
「そ、そうだけど……」
「そっかぁ……」
彼女は何か思案するように小さく下唇を噛んだ。そして、僕に歩み寄ると
「じゃあさ。明日の放課後。チョットだけ私に付き合ってくれない?」
「えっ?」
驚くだけの僕を他所に、|小首を傾げて《甘えるように(*´艸`*)ムフッ♥》顔を寄せる千勢。
「ダメかなぁ? 相談っていうか、ショウ君に話したいことがあるんだけど……」
そんな|可愛い顔《吐息が掛かる距離(*´艸`*)ムフッ♥》で頼まれてダメな筈がない。
「ああ、明日。放課後ね。いいよ、大丈夫大丈夫、OK! 相談OK!」
「ありがとう。よかった、断られたらどうしようかと思った」
そして、両手で小さく可愛くガッツポーズ――よしっ!――を決める彼女は、「じゃ、明日。屋上で待ってるね!」そう言って僕にウィンクを投げると、この場から足早に去っていった。
つづく
次回「放課後、校舎屋上にて♡」お楽しみに♪(*´艸`*)ムフッ♥