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その4
日曜日の昼下がり、
ボクは自分の家の周りを歩いた。
この辺りは実に汚い。
ボクの実家は田舎とまではいかないが、山の近くだし、どこにでも田んぼがあり、自然に囲まれていた。
ここは 都会 だ。と言っても都会の中心から外れた場所なので、閑散とはしている。でも道路沿いは車だらけだ。歩いている人は皆、疲弊しきっているように見える。
ボクは空を見上げる。
空も実に汚い。
この土地の全てに煤がかかっているようだ。
ビルにも
マンションにも
アパートにも
店にも
人にも
猫にも。
ボクはここに何かを求めてやってきた。
ボクは取って付けたような公園のコンクリートでできたベンチに座る。
コンクリートの凸凹の間の迷路に迷い込んだ小さな虫を眺める。
この虫に名前はあるのだろうか。
この公園で遊ぶ子どもは絶対にいない。