表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/31

その15

 カンッ!

 カンッ

 サッ

 カンッ

 カンッ!!

 ボフッ

 カンッ!



 ボクは家から自転車で20分の所にあるバッティングセンターを見つけた。ボクは野球が好きなわけではないが、なぜかふと立ち寄った。



 100キロ右打ち用。

20球300円。


 タイミングを合わせてバットを振る。

 ただそれだけ。

 何も考えない。

 意外と当たる。


 ボクは本当に何も考えなかった。ただ来た球を打っていた。集中していたとも言えるし、ただ無意識だったとも言える。


 右隣では上下ジャージでサンダルの男が打っている。頭は禿げかけているが、髪はとても上品に整えられている。歳は40歳前後だろうか。バッティングセンターの紳士といった感じだ。客はボクと彼だけだ。

 こんな平日の真昼間にバッティングセンターにいる男2人。当たり前の日常のような気もするし、そうでないような気もする。ボクは無意識に来た球を打ちながらも、ぼんやりとそんなことを思っていた。


 ボクは財布に入っていた1200円を使い切るころにはヘトヘトに疲れていた。とても喉が渇いていたのだが、ジュース代がないので仕方なくベンチに座って彼を眺めていた。素人目で見ても彼のバッティングは美しかった。ホームランの看板付近に何度もボールが行っていた。いつの間にかボクは彼に見入っていた。


 彼はバッティングを終え出てきた。そしてボクが座っているベンチの横の自販機に立った。それを横目で見ていたボクに話し掛けてきた。


 「何か飲むか?」


 ボクは一瞬、背中を針で突かれたみたいになったが、彼を見て「コーラ」と告げた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ