初めての魔法学校!
「ねぇフィン! 似合ってる?」
「似合ってる似合ってる」
「ねぇフィン! あなたハゲてる!」
「ああ、ハゲてるハゲてる………ん?」
現在、俺の自宅。OK理解。
そして異世界からやって来た少女、俺と同い年の十六歳。
さあ、そんな俺にどうしてハゲ要素があるってんだ。
「人の話を聞かないからよ!」
「HEY彼女! 人の家で魔法は使わないように!」
彼女の手のひらから放たれる、炎の球体。
思わず食器がなんにも乗ってないテーブルを盾にして避けてしまった俺。
あぁ……、俺のテーブルが……(高かった)。
「てめぇ! 居候の身で人ん家を燃やすなよ!」
神坂美琴はフンッ! とどこぞのツンデレかっ! とツッコミたくなるほどのリアクションをとる。今のところデレがないのでツンツンと呼んでいるが。
あれから一週間たち、休みがあけるのと同時に、校長に話し合った結果入学が決まったのだ。
つまらん。何故か俺が保護者になったのが非常に気に食わん。
そんなわけで、俺とツンツンは魔法学校、通称『ミスティーク』に通学するため、制服に着替えていた。
「ってかこの世界『元の世界』とほとんど変わらないのね。車とか電話とかがないだけで」
「まあオールドセプトが発展したのは異世界から何かが流れ込んで、それを使って今の俺たちがいるわけだからな、確か千年くらい前の話だが」
つか、人が異世界から落ちてくるなんて話勇者転生しか聞いたことないんだが。しかし、綺麗だなツンツン。
…………………去れ! 煩悩よ!!
まあとりあえずは、学校に行くか。
「行くぞ、ツンツン」
「………アンタ、一度地獄見たい?」
この一週間で成長しましたよこの子。なにが成長したって、主に攻撃力が。
「おはようございます、ヘリウム先生」
「ネビリム先生じゃボケ」
おっといかんいかん。
「すみませんでしたヘリウムボケ先生」
「ボケを追加すればいいという問題ではないぞ」
ヘリウム先生は額に怒りマークを作りながら(正直今の俺は器用だなぁ………と思ってた)、後ろにいるツンツンを見た。
「君が、カミサカ、ミコトかな?」
「は、はい! よろしくお願いします! ヘリウムくそボケ先生!」
「うむ、フィンの育成がすこぶる快調じゃな」
ひげをモシャモシャしながら、なんか言ってた。ツンツンよ、先生のあの目からの汗が見えないかね?
ネビリム先生の容姿は、ミコトからの感想だと、ダンブ〇ドアと言えばわかるらしい。なんだろうダン〇ルドアって?
一応俺が謝る。
「とりあえずミコト君は私について来なさい。フィン、あなたは自分の教室へ」
「わかりました」
なんとなくツンツンの背中を見た。
やっぱり不安なんだろう、いつもの意地っ張りは俺の前でしか発揮しないらしい。
いや、発揮しないほうがいいが……。
「今日から入学しました! カミサカ ミコトって言います! よろしくお願いします!」
元気なお言葉で、ツンツン言い切った。顔が赤いのもまた………。
だから去れよ! 煩悩!
「ミコト君は……、フィンの隣に座りなさい」
「えっでも先生」
「ミスラ君は床に座りなさい」
「ネビリム先生! それは横暴です!」
「冗談じゃ、君は後ろの右から二番目に行きなさい」
これなんてフラグ?
「よ、よろしくね? フィン君」
「オイ、さっきまでのお前どこ行った」
こ、コイツ………、表と裏では違う性格の持ち主かっ!
「ふぅ、アンタのせいで正体バレたじゃない」
「まあ待て、会話が常に一方通行だ」
「べ、別に正体を隠したくなかっただけなんだからね!」
「じゃあやるなよ! なんだよさっきから!」
「ツンツンと呼ばれるのが嫌なの、さっさと昇華してツンデレになりたいの」
「しらねーよ!」
俺はおもいっきり持っていた教科書を机にバシンッ! と投げる!
「ちっからかいがいがない……」
「結局は欲望の赴くがままかっ!」
「そろそろ授業を始めたいのじゃが?」
「「どうぞ」」