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最強の賢者と言う称号を得る為、俺は今日も童貞を守り続ける  作者: 病床の翁


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第二話 初依頼を受ける

 俺が早速依頼を見つけようと依頼書が貼り出されたボードの前に移動すると、後ろから声をかけられた。

「これはこれは。ヴァイス殿ではないか。」

「なんだ。ヴァイスも冒険者登録に来たのか?」

「僕達もさっき登録済ませたんです。っというかさっきヴァイス君なにか揉めてませんでしたか?」

 振り付けは悪友の3人組が立っていた。


 俺を殿付けで呼んだのは竜魔人族のラーディアス・ゼル・ドラゴ。頭頂部の角も入れて身長2メートル超えの筋骨隆々の男だ。竜魔人族ってのはドラゴンをそのまま人型にしたような種族でとにかく力が強い。ラーディアスもその例に洩れず体術の成績はすこぶる良かった。だが、肝心の神聖魔法の成績は中の下、その他魔法類もあまり成績は良くなかったな。


 で、俺を呼び捨てにしたのは黒豹系獣魔人族のカイザス・ウェイン。獣魔人族ってのは獣をそのまま人型にしたような種族で、俊敏性に優れていたり膂力が高かったりその獣の特性を受け継いでいる。カイザスは俺より少し背が高くスマートな体型をしており、黒豹系と言うだけあって俊敏性に優れていた。だからか剣術の才能はかなり高かったが、ラーディアス同様に魔法の才能はあまりなかった。


 最後に俺を君付けで呼んだのは魔人族のマイセル・ガストロア。魔人族は総じてメラニン色素が欠乏しており、白髪の赤い瞳をしている。マイセルは耳の上に申し訳程度の羊を想わせる巻角を持っているが角が見えづらくても白髪赤目だからすぐ魔人族だと分かる。魔人族は総じて魔法の才覚に優れており、マイセルも神聖魔法、攻撃魔法、支援魔法全てにおいて好成績だった。しかし、これも種族特性だが、華奢で俺よりも背が低く、武芸事にはからっきしだった。

 そんな種族もバラバラな3人とは何故か気が合って学生時代の悪友として親交があった。


 ちなみに俺は人間族で、他には人間族の見た目に獣の耳と尻尾を付けたような俊敏性に優れた獣人族、人間族の見た目に額に1本または2本の角を持つ膂力に優れた鬼人族、人間族の見た目に頭頂部に龍の角を持つ鋭敏な感覚を持つ龍人族、人間族の見た目ながら耳が尖った細身の体つきをしており、魔法とは違う精霊術という自然界にいる精霊の力を借りた魔術を得意とするエルフ族、短躯で筋骨隆々で鍛冶技術と採石技術に優れたドワーフ族などがいる。そのどれでもない間の種族で人間族。要は何の取り柄もない種族だな。


「あぁ。俺もさっき登録した。最初からBランクで登録してくれって頼んだんだがダメだったんだ。」

「え?ヴァイスの成績でもGランクからって事かよ。オレッチ達と一緒じゃんか。」

 カイザスが驚いている。

「ヴァイス君なら即Bランクから開始なのかと思ってました。」

「うむ。拙僧もそう思っておった。全教科100点での卒業者など長い神聖法魔教会付属高等学校の歴史の中でも初だと聞いておったが。」

 マイセルもラーディアスも驚いたようだ。

「だろ?でも冒険者登録のルールのしては必ずGランクスタートらしい。だけど、代わりに最速でFランクに上げて貰えるように交渉した。」

「ほう。どんな交渉で?拙僧らも交渉すれば良かったか?」

「1週間以内にGランクの依頼を10件達成しろってさ。」

「1週間以内?そりゃ無茶だろ?1日1件達成でもキツいって言うぜ?」

「でもやるんだよ。俺は最速でSランクに上がるんだからな。」

「それ学校でも言ってましたよね。ヴァイス君の夢、でしたっけ?」

「あぁ。Sランクの賢者になるのが俺の夢だからな。」

「ブレねぇな。お前も。そうだ。オレッチ達3人はパーティーを組むことにしたぜ。ヴァイス、お前はどうする?」

「あー、いや。俺はソロでいく。パーティーで依頼を達成しても成功値が均等割されるって聞いたことがあるからさ。ソロでやって成功値も独り占めするよ。それが最速でランクアップするのに1番手っ取り早いからな。」

「あ、それは僕も聞いたことがありますね。パーティーを組んでる人達よりもソロでやってる人の方がランクアップが早いって。」

「だろ?だから当分はソロでやってくよ。」

「そうか。分かった。では何かパーティーで受注しないとならぬ依頼があれば声をかけてくれ。」

「オレッチ達も何かあったら声かけるからよ。」

「あぁ。そん時は頼むよ。」


「ってか卒業直後に冒険者登録に来る奴多いのな。授業で使ってた短杖に何の変哲もないロングソード佩いた奴はみんな卒業生だろ?」

「そうであるな。そういう拙僧らも同じ装備だがな。」

 確かに今の俺達は皮のライトアーマーに鉄製のロングソードを腰に佩き、反対の腰には小さな魔石の付いた短杖をぶら下げている。

「早くちゃんとした装備に変えたいですけど、まずはお金を稼がないとですもんね。」

 そう。俺も本当なら立派な魔石の付いた杖にミスリル辺りで出来た剣を携えておきたいところだが、装備を整えるにもまずは金が必要だ。

「だな。まずは依頼をこなして金を稼いでから装備を新調だな。」

「オレッチはマイセルが使わねぇって言うからロングソード貰って二刀流でいくつもりよ。」

「え?マイセル剣、要らないのか?」

「えぇ。僕が持ってても重りにしかならないので。」

 頭を搔きながらマイセルが言う。そうだった。マイセルは剣術も体術も赤点ギリギリだったな。

「それ言ったらラーディアスも剣術はからっきしだったよな?」

「うむ。拙僧はモンクを目指す。この拳1つあれば充分よ。」

 目の前に拳を突き出すラーディアス。

「んじゃラーディアスの剣もカイザスが使えばいいじゃん。」

「いやいや。三刀流とか聞いたことないし。ラーディアスの剣は予備としてラーディアスに持ってて貰うさ。」

「そうなん?両腰と背中で3本持てるじゃんか。」

「あ、なるほどな。背中に背負うってのがあったな。となると肩紐買ってこねぇとな。まぁ、それも金稼いでからだな。」

「ですね。まずは依頼を達成してお金を稼ぎましょう。」

 マイセルが言うので俺も同意した。

「だな。まぁお互い頑張ろうぜ。」

「あぁ。死なない程度にな。」

「であるな。死んでは意味がない。その点、拙僧らには神聖魔法があるからな。そう簡単には死なないとは思うがな。」

「だな。じゃあ俺はさっさと依頼書見繕って受注してくるわ。」

「あぁ。またな。」

 カイザスが手を上げる。

「お気を付けて。」

 マイセルも手を振ってくる。

「拙僧らは取り敢えず今日は帰って明日から依頼を受注する。ヴァイス殿もくれぐれも注意して依頼を受けよ。」

 ラーディアスも手を振って3人組は去って行った。


 さてと、んじゃ早速依頼書を探しますか。

 依頼書が貼り出されたボードを見るとそのほとんどがFランク以上のものである。これじゃ1週間以内に10件とか無理ゲーじゃね?いや、よく見ればGランクの依頼書も少ないけどありはするな。民家の地下室に出たビックマウスの討伐依頼に、牧場に出たジャイアントマウスの討伐依頼。Gランクって事で成功報酬も少額だからか上位ランクの冒険者は依頼を受ける様子もない。よし、まずはビックマウスの討伐依頼から受けるか。

 俺は民家の地下室に出たというビックマウス数体の討伐依頼書をボードから剥ぎ取った。


 登録時に並んだカウンターで依頼書の受領を頼む。

「あぁ。ヴァイス・シュナイダーさん。早速依頼受注ですか。うん。ビックマウスの討伐依頼。確かにGランクの依頼ですね。受領しました。期限は5日間になってますからそれまでに達成して下さい。失敗した際には成功報酬の10パーセントの罰則金が発生します。」

 依頼書を確認した受付嬢が言う。

「俺は1週間以内に10件依頼を達成しないといけないんだ。5日もかけてらんないよ。今日中に達成して報告に来るさ。」

「本気なんですね。まぁくれぐれも無理はなさらずに。これが依頼人の住所です。ギルドで依頼を受注したと伝えて下さい。あ、討伐証明部位も忘れずに。」

「分かった。じゃあ、行ってくる。」

「はい。行ってらっしゃい。」

 受付嬢は軽く手を振る。

 俺の記念すべき最初の依頼だ。でも、まだ先は長いからな。さっさとビックマウス程度倒して次の依頼を受けに来よう。

 俺は早速依頼人の家に向かうのだった。


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