華のセブンティーンはどこへ!?
高校二年生、17歳。華のセブンティーンとは誰から聞いた言葉だったか。この年頃は、とにかくキラキラとしていて、その後の人生で何度も「あの頃に戻りたい」となる……はずの日常は、なんとも味気ない普通の土曜日だった。
彼女は土曜だというのにこの日も学校で、午前中に補習を受けた後、友人と帰り道を共にしていた。歩いているのは2人だけなのに道が狭く感じるのは、喋ることに夢中でどんどん近づいているせいだ。
「ちょっと、近いよー。轢かれちゃうから!」
軽い調子でそう言う友人に、彼女も思わず笑いながら謝る。そんな調子でワイワイと騒いでいると、やはり喋ることに夢中になった彼女は家の前を少し過ぎていた。
「ね、せっかくだし、寄り道してアイス食べようよ。華のセブンティーンが補習で終わるの意味わかんないから。」
それは良いアイデアと、彼女は友人の提案に乗る。さて、自動販売機の前までやってきたものの、目当てのクッキー&クリームが売り切れだ。
「あー、売り切れてるじゃん。人気なのかな。こっちでいっか。」
この日は5月にしてはかなり暑く、そのせいかいくつかの商品が売り切れていた。2人ともそれぞれ好みのアイスは売り切れていて、仕方なくサイダー味のシャーベットを揃って購入したのだった。
「華のセブンティーンにセブンティーンアイスって。」
ふっと笑う友人を見ながら、彼女はシャーベットを口に含むと、サイダーの方がよっぽど甘酸っぱいななどと考えていた。
現実とはこんなものなのか。華のセブンティーンとは嘘だったのか。16歳までは良かった。まだ17歳になっていないからだと希望を持てた。でも17歳になってしまえば、それは逃れられない枷となった。もちろん友人と過ごす時間は楽しい。しかし、華のセブンティーンでなくても、小学生から変わらない日常だ。17歳とはもっと特別なものではないのか。小学生とは違う、もっと何かキラキラとしたものを得られるのではないのか。そう、例えば彼氏ができるとか、文化祭でバンド演奏するとか、部活で賞を取るとか。何か人からチヤホヤされて、称賛されるような……認められるような"結果"を。




