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第85話

 今日は大変な仕事だった。


 仕事に慣れてきてようやく新人の称号も外れてきたこの頃。仕事の頻度も段々と落ち着いてきた気がする。


 今日は午前午後とまたがるように仕事が入っていたのでいつもよりなんだか長く感じた。


 支給されたお弁当もひなの手作りほどではないが美味しかった。(翡翠さんに唐揚げを一つとられてしまったのが心残りではある)


 仕事も終わって15時前。ひなとのデートにはまだ時間があるので駅付近でウィンドウショッピングでもしておこう。


「あれ?あやしろ帰んないの?」

「はい、待ち合わせがあるので」


 翡翠さんはいかにも遊びたいといった表情でこちらを見つめる。


「ねね、待ち合わせの時間まで遊ぼ!」

「いえ、待ち合わせが…」

「そっちって待ち合わせするような場所だっけなー?」

「……」


 私は翡翠さんを無視して歩きだすことにした。当然のごとく翡翠さんもついてくるけど。


「何買うんですかあやしろさん」

「…特に何も」

「冷やかしか〜?あっそうだ!目的ないならうちの買い物に付き合ってよ〜!ちょうど新しいアクセ欲しかったんだよ〜」


 翡翠さんに腕を掴まれて、なすすべもなく連れて行かれる。


 連れてこられた場所は駅の近くにある大型ショッピングモール。よくひなとお買い物に行くところだ。


「ちな待ち合わせ何時〜?」

「16時…」

「ま、一時間ないぐらいで買い物終わるだろうしそんな嫌そうな顔すんなし〜w」


 そんなこんなで連れてこられたのはアクセサリーショップ。私はこういうのあまり詳しくはないからよく分からないけどおしゃれだ。


「新しいイヤリング欲しくってさ〜あやしろ選んでよ!」

「えぇ…私こういうのあんま知らないんですけど…」


 私は面倒くさいながらに陳列されているイヤリングを見る。


 ひなもイヤリングってつけるのかな?ピアスは痛いから嫌だろうし、いつかの記念日にイヤリングを送るのも良いかもしれない。


「…これとかどうすか」


 私はこちらをガン見し続ける翡翠さんを無視できるわけでもなく、なんとなく目についたイヤリングを手に取った。


「んお?なるほど〜赤系のか!いつもは緑系選ぶから新鮮かも!」


 翡翠さんは早速自分の耳に充てがってみている。


 翡翠さんは名前通り緑系のアクセサリーをよく身に着けているので赤系は補色なので新鮮味がある。


「いいじゃん!気に入ったから買ってくる!」


 翡翠さんは嵐のように店員さんのもとに走っていった。あまり時間はかかっていないようで良かった。


 私は再びイヤリングの店に向き合ってひなに似合いそうなものを探すことにした。

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