第8話
家に帰った私達は遅めの夕ご飯を終え、お風呂に入った。
心配だし、一緒に入ろうか?と冗談っぽく誘うとひなは顔を真っ赤にして慌てていた。
ふたりともお風呂に入り終え、ゆったりとしているとふと昼間に買ったヘアピンの存在を思い出す。
「そうだ、ひな。これあげるよ。今日、ひなに似合うと思って買っておいたんだ」
「わぁ!かわいい!…いいの?ありがとう!」
ひなはとても気に入ってくれたようだ。
「ふふっ、喜んでくれて嬉しいよ。実はねこれ、お揃いなんだ」
そう言って私はひなにあげたの同じクローバーのヘアピンを取り出す。ひなはそれを見ると目の輝きがいっそう増した。
親友らしい行為に興奮してくれているようだ。
「あ、あやちゃん、ヘアピンさぁ…つけてくれないかな?」
ひなは少し恥ずかしそうに大変可愛らしいことを言う。
「ん、もちろん」
ひなの可愛さに悶えそうになるもなんとか耐え、冷静に応える。
ヘアピンをつけ終えるとひなは鏡を見る。嬉しそうにはにかんでそっと私の手を握って、お礼を言ってくる。
なんてかわいい生物なのだろう。今すぐベッドに押し倒して、めちゃくちゃに乱してしまいたい。
しかし、そんな欲望は抑えなければならない。襲ってしまえばひなに怖がられてしまう。
「そういえば、ひな。私、話しておかないといけないことがあるの」
ひなの可愛さを愛でるのも良いが、なんとか自分に喝を入れ、話し始める。
「私ね、モデルをはじめることになったんだ。だからね、これからは一緒に帰れない日が増えるかも」
ひなは一瞬ぽかんとしたあとに、ええっ?!と100点満点なリアクションをとる。
「あ、あやちゃん、モデルさんになるの?!すごい!絶対に雑誌、買うよ!」
ひなにモデルになる経緯や今後などの詳細を話す。ひなはもう口が開けっぱなしになっていてアホっぽくてとてもかわいい。
でも一緒の時間が減って寂しがったりしていない様子がちょっと悲しくなった。私はこんなにもひなのこと考えてるのに……。