第72話
合流した私たちはテンションがあがっている翡翠さんに連れられるがままプリクラを撮った。
杏だけは抵抗していたけれど最終的には翡翠さんにプリ機の奥に押し込まれて撮る羽目になった。
「うわっこれ誰ですかっ」
杏は出てきた写真に文句をいいながらも大切そうに財布にしまい込んだ。
時間帯もいい具合になったということもあり、解散することになった私たちは各々別れた。
杏はお兄さんが近くに来ているのでその場で別れ、翡翠さんは真逆の方面だったので駅で別れた。
ひなと二人きりになったところで私はひなの手をそっと握った。
「ゆ、指輪は家に隠してるから…」
ひなは手をスリスリしている私にそんなことを言った。
「うん、私もそうしてるよ」
ペアリングのあの指輪は外でつけると面倒事を呼びかねないのでお互い家で保管したりデートのときだけつけようと決めている。
恋人つなぎで電車を待ちながらふと頭に思い浮かんだことを口にする。
「そういえば紫苑が恋してる可能性あるんだって」
「え!紫苑ちゃんが?!」
ひなは驚いたように目を見開く。
「うん、翡翠さんによれば最近そういう顔してるんだって」
ひなは考え込むように目をつぶった。
「た、確かに…最近ぼーっとしてるときあるよね…」
思い返せば話しかけてもすぐに返事をしないことが最近多い気がする。
「紫苑ちゃん…どんな人が好きなんだろ」
「うーん…紫苑ってあんまり交友関係深くないからね」
紫苑と交流のある人といえば私たちくらい?
紫苑が誰かと一緒にいるところってあんまり想像できないというか…紫苑自体シャイだからどんな人が好きとか分からない。
紫苑はモデルさんともよく話したりするし、超がつくほど顔が良いのかもしれない。
「あ、でもそれじゃ純恋さんとか凹んじゃうんじゃない?」
「そういえば今日は機嫌よろしくなかったかも」
シスコンだし、観察力もあるだろうし、なんにしろ今日純恋さんの機嫌が悪かったのは紫苑が関係しているのだろう。
「紫苑ちゃん、付き合ったらちゃんと紹介してくれるかな?」
「どうだろう…もしかしたら相談とかしてくるかもね」




