第63話
今日は紫苑の誕生日である。
集まったのはいつもの4人と紫苑。純恋さんも来たがっていたのだが商談がどうとかで紫苑に追い出されたようだ。
そして場所はみづきの家。一番学校から近いからだ。
「しおたんおめでと〜!」
騒がしいみづきがクラッカーを鳴らす。
それを皮切りに皆が祝福の言葉を送る。紫苑は初心なのか顔を赤くしている。
「おら!誕プレだよぉ!受け取れ!」
みづきはどこから取り出したのかいくらかの風船を取り出し、紫苑投げつけた。
風船は冷房の風によって紫苑とは逸れた方向に飛んでゆき、その方向に座っていたみづきの愛猫によって割られてしまった。
「あぁ〜!何すんだよぉ!」
「自業自得でしょ」
「き、気持ちは受け取りました!」
凹むみづきとなにかしました顔の猫。そして精一杯励ます紫苑。
「…ふふっ」
そして笑いをこらえるひなと杏、呆れる私。
ドタバタと始まった誕生日会も順調に進んでいき、純恋さんによって用意されたケーキを食べる。
紫苑はみづきの愛猫にすっかり好かれてしまったようで自身の膝の上に乗った猫を撫でながらゆっくりとケーキを食べている。
対するひなは猫が気になっているのかちらちらとそちらを見ている。
「しおたん、好かれ過ぎ〜!あたしでもそんなことされたことないのに!」
「え、えっと…ごめんなさい?」
「くぁー!くやちぃ!」
みづきは猫にかまってもらおうと紫苑の膝に飛び込んだ。
もちろん猫に強烈なパンチを食らわされ、自然と膝枕の姿勢に入った。
「ふふっみづきちゃん、食べてすぐ横になったら牛さんになっちゃうよ?」
「ハッ!ひなちよ、そんな子供だまし、あたしには効かない!」
…なるほど、ああやって自然と甘えるのだな。
「ちょ、ちょっとあやちゃん?!」
そっと隣に座るひなの膝の上に頭を乗せて寝転がる。ふむ、相変わらず程よい硬さだ。
「が、眼福…!」
紫苑も喜んでいるみたいでよかった。ついでに杏も喜んでいるみたいだ。
「あぁ〜!ずるっ!あたしもひなちの膝枕、使いたいんだけどぉ」
すぐに立ち上がろうとするみづき。それを紫苑と杏は上から押さえつけて止めた。
「だ、ダメです!」
「なぜ?!?!」
「ほ、ほら美月さんには紫苑さんがいるじゃないですか!な、なんならわたしでも変われますよ!」
「そ、そうですよ!」
紫苑と杏による熱烈な説得によってみづきは動けなくなってしまった。
「な、仲良いね」
「うん」
これで私はようやくひなの膝枕に集中できる。
2人にはあとでなにかお礼をしておこう。




