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第52話

 無事に目的地にたどり着いた私たちは私が事前にネットで取っていたチケットを用いて水族館の中にはいった。


 ここの水族館は最近リニューアルされたばかりで目新しい。夏休み終盤ということもあり、家族連れが多い印象だ。もちろんカップルも。


 早速水族館に入り、2人でマップを覗き込む。


「どこから行こうか」

「う〜ん…えへへ、悩んじゃうね」


 ひなは浮かれているようでキラキラとした瞳でニッコリと笑った。胸がトクトクと暖かくなるのを感じる。ひなは何度私を惚れさせれば気が済むのだろう。




「あやちゃん!このクラゲ、綺麗だねぇ」

「そうだね」

「わっ!このお魚さんこっち見てるよ!」

「本当だね」

「このカニさん、珍しい名前だねぇ」

「本当だ」


 興奮した様子で水槽を指差すひなはいつもより幼っぽさがあって可愛い。ただ、なんだろう…少しモヤモヤしてしまう。魚に嫉妬してしまうなんて少し恥ずかしいな…。


「あやちゃん?どうしたの?」


 ひなの横顔に見惚れているとひながこちらを心配そうに見つめていた。


「…ううん、なんでもないよ。ひなに見惚れてただけ」

「あ、ぁりがとう…?」


 ひなは赤くなりながらもなんとかそう答えた。しきりに胸元のネックレスをいじっているのがまた可愛らしい。


「私も…」

「ん?」

「私も…あやちゃんによく、見惚れてるから、ね?」


 私の服の裾を掴んでこちらを見上げてくるひなは相変わらず真っ赤で瞳も潤んでいるが、私にしっかりと目を合わせてそう言った。


 私は思わずひなの頬に手を添えて、キスをしようとしてしまった。


 ひながギュッと目を瞑ったところでなんとか我慢できたが、2人きりだったら迷わず襲っていたかもしれない。


 私は手をひなの頬から耳、そして頭へと移動させて、そのままひなの柔らかな髪を撫でた。


「ひなは私を惚れさせる天才かな?」

「なっ?!きゅ、急に何言ってるの?!」

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