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第38話

 無事四葉のクローバーの指輪を買った私達は杏のラッピング用シートを買い、帰路につく。買った指輪はヘアピンと同じような金色がベースの指輪だ。お値段はそこまで高くはないが安っぽさのない良い商品だ。


 ちなみに指輪のサイズだがついこの間『ひなとの結婚指輪を作るときはこのサイズで良いんだね』とからかうついでに測っておいた。


 最寄り駅で降り、杏と2人で帰路である河川敷を歩く。ちょうど夕方ぐらいだが夏の夕方はまだまだ明るく、元気いっぱいな小学生たちの明るい声が聞こえてくる。

 2人で他愛もない話をしながら歩いていると目の前から見覚えのある女の子と柴犬が歩いてきた。


「あれ?ひなじゃん」

「わ!ひなちゃん、偶然だね」

「え?あやちゃんに杏ちゃん、今日は2人でお出かけでもしてたの?」

「うん、買い物に付き合ってもらってた」


 偶然ももたを散歩しているひなと出会った。ひなは散歩のためかいつもよりもスポーティな格好をしていた。

 ちなみに柴犬らしく飼い主以外になかなか尻尾を触らないももただが杏は結構懐かれている。今だってももたの首あたりのもふもふを撫でている。うらやましい。


 そのまま少し雑談をしたが杏は妹ちゃんから連絡が来たようで早歩き気味に帰っていった。杏の妹は2つ下の中学生だがいわゆるツンデレで杏には素直になれない可愛らしい女の子だ。


 私とひなは2人でももたの散歩を続けることにした。


 ももたは散歩が大好きな子らしく、るんるんと尻尾を振っている。


「今日は何を買ってたの?」

「ん、文房具と本だよ。ちょうどシャーペンとかが切れてたんだよね」

「そうなんだ…なんかあやちゃんが他のお友達と遊びにいくとか聞いたことないからびっくりしちゃった」


 これは嫉妬をしているのだろうか?ひなは伏し目がちにそう言った。


「たまたま杏と会ったんだよね」

「ふーん…」


 これはきっと寂しがっているのだろう。しかし『たまたまだ』というと少し安堵したように頬を緩めており、そんな素直で幼気のある様子が可愛らしいなと思った。

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