第3話
学校へ着き、靴箱を開ける。すると一枚の手紙が入っていた。
私は少しモテる方でたまにこういうラブレターなるものが入っている時がある。手紙以外にも教室で急に呼び出されたり、人伝に呼び出しをくらったりすることもある。
もちろん私にはひなという心に決めた人がいるため告白どころか待ち合わせにも応じないことが多い。
ひな以外の愛の言葉なんて必要ないし、むしろいらない。
しかし、ひなは優しいので応えるべきだと言う。だからいつもは待ち合わせをすっぽかしたり、告白をよく聞かない内に断ったりしていた。
たまに女の子でファンです!と言って差し入れをもらうことがあるので悪いことばかりではないが、ひなとの時間が減るので差し入れを貰って適当に受け流している。
「わ!あやちゃん、またお手紙貰ったの?モテモテだねぇ」
ひなは感心したようにうなづいた。ホントにラブレターを貰いたいのはひな、たった一人なんだけどなぁ。そんなこと言えるはずもなく軽く受け流した。
◇◇◇
放課後、私は手紙の相手との待ち合わせ場所に来ていた。
朝、約束した通りひなの委員会が終わるまで待たねばならなかったからだ。
いつもなら図書室で委員会のやり取りを横目に本を読んで待つ。今回もそうしようと思っていたが、ひなに手紙の相手に会うように言われた。ホント、ひなはいい子すぎる。
待ち合わせ場所は2号館の横にあるベンチだった。部活動に赴く声をBGMにしながらおすすめされていた本を読む。
「あ、あの!」
数ページ進んだところで小さな声が聞こえてきた。顔を上げるとひなよりも少し小さくて、どこか見覚えのある女の子が立っていた。