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第34話

 海を存分に楽しんだら次は海の家だ。時間帯もいい具合でお腹が空く時間だ。


 海の家にて昼食を取ろうとということになり、木造の海の家へと向かう。

 人もそこまで多くないが美味しそうな香りがあたりをたちこめていた。


「あたしは定番の焼きそばでー!」

「あ!じゃあうちはイカスミパスタ〜!あやしろは?」

「あー…じゃあ私はカレーライスかな」

「い〜な〜!あとでうちにも一口ちょうだい!」

「はいはい」


 各々が好きなものを注文し終え、代表して西口姉妹が注文しに行く。ちなみにひなは焼きそばなので私もあとで一口もらって間接キスをしよう。

 …そう思っていたがすっかりギャルに挟まれるように座ってしまったためそんなにイチャイチャできなさそうだ。ていうかひなを嫉妬させるにしてもこんなギャルよりも杏とか紫苑とかのほうがいいな……。


 そう、そうだ。嫉妬で思い出したけれど今回の海ではひなともっと仲良くなるという目的の他にも、ひなに嫉妬心を抱かせるという目的もある。そのためこういう他人との触れ合いも必要なのだ。

 だから我慢…我慢……。


「あやしろ〜、向こうにちっちゃい洞窟みたいなのがあるらしいぜ〜」

「これは行くっきゃないっしょ!」


 それよりもこのギャル2人は今日が初対面なはずなのになぜこんなにも息ぴったりなんだ?というか2人とも性格もノリも似すぎて呼び方とか声色がなければどっちがどっちなのかわかんないんだが?


「はいはい……ひなも行く?」

「私は…ちょっと怖いしいいかなぁ」

「そう?わかった」


 またしてもひなといちゃつく機会を逃してしまったようだ。


 にしてもひな、なんか元気がないような気がするな…。私がいない間に杏に聞き出してもらおう。

 杏に手早くLIMEでそれとなく聞くようにお願いしておいた。するとすぐにカタツムリなのかカエルなのかよくわからないような生物のスタンプで『了解』と送られてきた。


「おいおい、あんまはしゃぎ過ぎんなよー。一応私が保護者なんだから、なんか問題あると厄介だし…」

「はいはいわかってるって〜」

「そうですよ!特に翡翠さんは。岩場で怪我とかホント洒落にならないんで」

「紫苑たんは過保護だな〜」


 なんていうか、西口姉妹が翡翠さんのことを幼児として見てしまうのわかる気がするな……


「………」

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