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第22話

 ひなをからかい尽くし、ひながまだ悶えているうちに自分の髪を洗い流す。

 いつのまにかひなも自身の身体を洗い終えており、浴槽からこちらをジト目で睨んでいた。


 そんなひなを横目にあっという間に髪を洗い終えてしまう。


「あ、あやちゃん…お返しに私もあやちゃんを洗ってあげるよ」


 ひなならそう言うと思っていた。


「ん?前も?」

「せ、背中だけ!」


 軽くからかいつつも、ひなに背中を預ける。


 ひなの小さくて柔らかい手が背中を伝っていくのを感じる。眠くなってしまいそうなほど心地よく、純粋にひなの手腕に驚きだ。


「…くすぐったくないかな?」

「ん、気持ちいいよ」


 そんな心地の良い時間はあっという間に過ぎてしまう。

 背中や腕などを洗い終え、ひなはそっと浴槽に戻る。


「…前も洗ってくれても良かったのにね」

「っ!もう!そういうのは恋人の関係じゃないとダメなんだよ!」


 ひなは恋人ができたらこういうイチャイチャもしちゃうんだ。


 そう思うと胸がヤキモキする。私が恋人になるべき人なんだ。私以外の人がひなとイチャイチャするなんて来世であっても許せない。ひなは死んでも私のものだ。


「…じゃあ、恋人になっちゃう?」

「っ?!」


 思わずそんな言葉が口から出る。紛れもない本心で、心から望んでいることだ。

 恋人じゃないとダメ。なら恋人になってしまえばいい。


 ひなの顔をじっと見据え、真剣な顔でひなの返事を待つ。


「…なんちゃって」


 ひなは今にものぼせてしまいそうなほど顔が真っ赤になっている。これ以上待ってひなが倒れてしまうのは本望じゃない。

 それにまだ、友達関係を楽しんでおきたいと思っている自分もいる。だからまだ恋人になるには早いのだ。


 恥ずかしさに悶えているひなを浴槽から引きずり出し、先に上がらせる。


 一人浴槽の中で目をつぶり、今日見たかわいいひなをまぶたの裏に映し出す。それとひなの裸も。

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