第14話
3連休明けの学校というのは少し憂鬱だ。しかしひなと会えるということはその憂鬱を上回る。
休みの間ひなと一緒にいた時間は長いが会えない日が1日でもあると寂しくなってしまうものだ。
ひなと電車に乗り、学校へ向かう。私たちの乗る電車は少し時間が早めなので人は多くない。
ひなも私もおそろいのクローバーの髪留めをつけており、その繋がりに胸が高鳴る。
「…あっそうだ、昨日ねモデルの写真お試しで撮ってみたんだ」
そう言って昨日撮り、貰った写真をひなに見せる。
「え!あやちゃんかっこよすぎだよ!」
ひなは迷惑にならない程度の小声で騒ぐ。
「この服、あんまり着ないタイプだよね?すごく大人びて見える!メイクもなんていうか韓国とかのモデルさんみたい!」
「…あぁ、ありがとう」
ひなの口から次々と私への褒め言葉が飛んできて嬉しいが恥ずかしい。ひながこんなに興奮してくれるなんて…もっとファッションについて勉強すべきだな…。
そんなことを考えつつもひたすらに褒め続けるひなの口を人差し指で塞ぐ。
「…そこまで。静かにしないと…ちゅーしゃうぞ」
我ながら攻めた言葉だとは思うが、ひなにキスできそうな程に近づき、周りに聞こえないようにそう囁いた。
ひなには効果覿面だったようで顔を真っ赤にして、焦点の合わない目で顔を逸らす。
恥ずかしがって前に背負ったリュックのチャックをいじっており、口を開けたり閉じたりとパクパクさせていた。
「少しからかっただけでこんなにも可愛い反応をしてくれるなんて冗談じゃなかったらどうなっちゃうんだろうね?」
ちょっとしたいじわるとしてひなに追い打ちをかける。ひなは完全にノックアウトしてしまったようで顔をひたすらに真っ赤にさせ、腰が抜けたようにこちらにもたれかかる。
「もう…あやちゃんったら…」
ひなはそれだけ囁いてうつむき、目を閉じてしまった。
あぁ…ひなったらそんな可愛いことをしてくるなんて、ほんとに冗談じゃすまないことをしてしまいたくなる。
そんなどす黒い欲望を無理やり押さえつけ、私にもたれてくるひなの頭に自身の頭を預けるのだった。