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第120話

 昨日は従兄妹二人と出かけることでなんとかクリボッチを回避した。


 わがままお嬢様とシスコンわんこに振り回されて少し疲れが残っているが、今日はひなと過ごす1日だ。


 今日はお昼から来るらしいのでそこまで早起きする必要はないのだが、早くに起きてしまった。


 ひなが来るまでの時間をリビングでダラダラと時間を潰した。


 お昼の時間が近づいてきて、みづきからもらった小説の上巻(昨日買った)を読んでいるとチャイムが鳴った。


 玄関を開けてひなを迎える。片手に紙袋を持っている。


 リビングに招くとひなをソファに座らせてあったかいカフェオレを用意してひなに差し出す。ひなはカフェオレが好きだ。


「ありがとう、あやちゃん。それと、1日遅れだけど、メリークリスマス」


 ひなはいたずらっぽく微笑んでクリスマスらしいセリフを言った。


 なんだかそんなひながとても愛おしくて、脚が触れ合うぐらい真隣に座って少しひなに寄り掛かる。


 さっきまでマフラーをしていたからか少し跳ねている髪の毛を整えるように撫でる。


 ひなはそんな私の手にすり寄るように呼応して動き、やがて私の肩に頭をあずけてきた。


 そこで私はひなの様子がいつもと違うことに気付いた。


「……ひな、シャンプー変えたの?」

「えへへ…気付いた?コロンを変えたんだぁ」


 もちろん、匂いの違いのことではない。確かにいつもよりもフローラルな香りがするし、実際に匂いが違うことは合っていた。


 心地よさそうに目を細めているひなの顔をよく見ると、ひなの目元に少し隈ができている。


 昨夜はいつもどおり11時になる頃にはベッドに入っていたみたいだし、朝だって6時ぐらいに起きていたはず。


 こんなにも健康的なひなに隈ができるなんて珍しい。


 もしかして私とのお家デートが楽しみでよく寝付けなかったのでは?とおも思ったが、現在、ひなと触れ合っている箇所からはそのような緊張が見られない。


「ひな、眠いの?」

「んぅ?ううん、眠くないよ。ただ、あやちゃんとこうやってのんびりしているのもいいなぁって」


 そうやって笑うひなの笑顔にはいつもとは何かが違う。いつもより、明るくないような気がする。


 ひなの頭を撫でながら私は確信する。


 ひなは何かを私に隠しているみたいだ。ならば、それがなにかを確かめなくてはならないだろう。

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