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第107話

 文化祭が終わればもう特別な行事はほとんどなくなる。


 いつも通りの授業漬けの生活に戻り、少し退屈だが、私には楽しみなことがある。


 それはもちろんひなについてのことで、私の計画ではクリスマスのデートまでにはひなに独占欲を募らせておきたいところだ。


 ひながモヤモヤしてるところでひな自身の暗い嫉妬心を自覚してもらい、私なしでは生きられないようにする。


 そのためには私自身が他人と関わり合わなければならない。


 嫌だけど、ひなのためにも他人と仲良くなっていくべきだというのは理解しているので、そう思えば辛くはない。


 手始めにひなに誘われたデートを断り、他の人を優先してみようと思う。


 最近やたらと私をカラオケに誘ってくる鈴木さんのグループにでもついて行ってみよう。


 思い立ったは吉日ということで既読無視していた鈴木さんからの誘いに了承の連絡を入れておいた。


 すぐに返信が来て、明後日の放課後にでもカラオケに行くことになった。


 思えば、高校生になって放課後ははぼひなと過ごしていたような気がする。


 委員会のある日だってひなのことを待っていたし、部活は一緒だし、登下校はいつも一緒だった。


 そうとなれば明後日が初めてひなと過ごさない放課後になるのかもしれない。


 できれば体験したくなかったことではあるが、私が初めてひなとの下校を断ったときのひなの反応が少し楽しみでもある。


 もし、鈴木さんとのカラオケに嫌気が差してきたらひなが私に断られた時の心境や一人での下校時に何を考えているのかを妄想して耐えよう。


 そう思ってひなに送りかけたメッセージを消去し、アプリを開いてひなの部屋の様子を見る。


 ひなはこちらからは死角になっているのでよく見えないが、机に向かった何かしらの作業をしているようだ。


 机上に裁縫道具やら布のようなものがあることから察するに手芸でもしているのだろうか。


 ひなは手先が器用で、この間だってひなの飼い犬であるももたが壊したぬいぐるみのおもちゃを完璧に直していた。


 しばらく眺めていると作業に区切りがついたようで大きく伸びをして、そばにあるコップを持って部屋を出た。


 つられるように時計を見るとすでに正午を過ぎ、もうすぐ一時になろうとしていた。


 あまり食欲はないが、適当にカップラーメンでも作って食べておこう。

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