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第104話

 打ち上げと言ってもただのお食事会。その上バイキングなので皆が同じものを食べるわけでもない。


 私は和食系メイン。ひなは野菜を中心に。紫苑は意外にもガッツリ。


 二人とも見た目にそぐわぬ胃袋の大きさをしているので私はスローペースでは約二暇にならないように少しだけ配慮しておく。


 そんなこんなで飲み物をよく飲んでいたためか尿意を催し、少し席を外すことにした。


 お手洗い場へ向かうと丁度鈴木さんも出てきたところのようで、彼女は私を見つけてぶつかるように挨拶をかます。


「田代さ〜ん!ちょ〜っと聞こえてたんだけど、西口さんってもしかして好きな人とかいるの〜?」


 面倒くさい相手に会話を聞かれていたようで腹の奥からため息が出そうになる。


「ノーコメントで」

「え〜そんなこと言っちゃっていいの〜?私、日向ちゃんと《《恋バナ》》とかしちゃったんだけどな〜?」


 やたらと強調された『恋バナ』の単語が鼻につく。


「興味あるでしょ〜!そうですか?取引ってことで」

「………」


 悩んだ末に『…あとで連絡する』とだけ伝え、素早く個室に入り、外界と遮断するように音姫を鳴らした。


 扉の閉まる音を聞いてからため息をこぼす。


 紫苑には申し訳ないが、私は好きな人にはもっとまっすぐでありたい。


 あの取引は成立だ。ひなが私のどこが好きなのかとか、どこらへんの要素を求められているのか。


 ひなが私のことをもっと好きになってもらうためには必要な情報だろう。


 だが安心してほしい。私も数少ない友人の恋愛事情をそう安々と受け渡すつもりはない。


 『紫苑は口が堅いから気になる人が他校にいるっていうのしか知らない』


 このスタンスで行けば紫苑が同性愛者であることや、ギャルが好きなこととかバレないはずだ。


 うん。イケる。


 個室を出て、手を洗って二人が食事を続ける席に戻る。


「……紫苑、ごめんね」

「え?」


 通りすがりに紫苑の肩を叩き、謝っておく。


 何事か分からず、あたふたしている紫苑を横目にお皿に持っていたブリ大根を口に運ぶ。


「あやちゃん、なんだか機嫌いいね?」


 ひなに指摘されてはじめて少し自身の広角があがっていることに気づく。


「うん、ひなが可愛いからね」

「きゅ、急になに?!」

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