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第100話

 12時になり、杏たちのもとへ向かうとそこには目をギラつかせた演劇部員たちがいた。


 連れて行かれるがままに着替えて席に座り、メイクを施された。


 紫苑以外に人にメイクされることはないのでちょっと抵抗があったが、お化け屋敷に行っていた時のひなを思い出し、なんとか耐えた。


 でかい姿見を目の前に置かれ、そこを見ると見事なまでに男装をした自分がうつっていた。


 何かモチーフがあるのか少し王子様っぽい衣装であまりに豪華な雰囲気だったので少し自分でも驚きだった。


「いやー完璧すぎる!流石私!流石モデル!」


 変なテンションになっている演劇部員たちに褒められながらプラカードを持たされ、ひなが待つ体育館の入口へと向かった。


「ひな、お待たせ」

「あっあやちゃ…」


 こちらに気づいたひなは目をパチクリとさせて私の顔をじっくりと見てくる。


 私の変わりように驚いているのだろうけど、あまりそう見られると少しむず痒くなってくる。


「えっあ…あやちゃん、その格好は?!」


 フリーズしたままのひなの手を握るとハッと我に返ったように私の格好について疑問を投げかけてくる。


「ん、王子様なんだって」

「いや、そうなんだろうけど……」


 ひなは何かを言いたそうにしながらもモゴモゴと口をつぐんでしまった。


 そうこうしていると周囲に人も集まってきたので改めて渡されたプラカードを掲げておく。


 しばらくすると段々と列も出来てきて、一応仕事をこなせているのだと安心する。


「あっあの!」


 ひなの動きが鈍いのでひなを体育館の入口に残し、列の最後尾でプラカードを掲げていると他校の女子高生らしき人物に声をかけられた。


「しゃ、写真!撮ってもいいですか…?」


 ソワソワとこちらの顔色を伺いながらスマホを手にそう尋ねてきた。


 正直断りたいところだが、文化祭なので特別。『いいよ』と答えてその人達と共に写真を撮ってあげることにした。


 しかし、この判断がよろしくなかったのか、この様子を見ていた別の人…女の子たちから『私も撮ってほしい』と頼まれ、断れなくなってしまった。


 開演の10分前になり、ついに体育館が開放されたことにより、私も解放された。


「あやちゃん、大変だったね」

「うん…」


 慣れない格好である上にあまり人に囲まれる経験もなかったためにドッと疲れが押し寄せる。


 しかし、一時中断にはなったが、これからまたひなとの文化祭デートの再開だ。


「あっ杏ちゃんたちが特別席用意してくれてるって」


 ひなは私を労うように私の肩を支えながら私を体育館の二階通路に連れ出した。

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