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第94話

 最近は文化祭のことで詰め詰めだったが、今日はなにもない休日である。


 文化祭準備によって二人きりの時間が減っていた私とひなは自然と二人で合う流れになり、今日はひなの家でおうちデートである。


 ひなは私を自室に招き入れるとかなり近い距離で座り、私に軽くもたれかかっている。


 付き合ってもう1ヶ月半。最近のひなはこうして甘えてくることが多い。


 可愛いし、ドキドキするのだが、いつか私の我慢が効かなくなってしまうのではないか、と思う。


 ひなは腕を組むのが好きみたいで二人きりのときはこうして私の腕を抱くように組むことが多い。


 ひなは私よりも少し体温が高いのでくっついていると温かいものだ。


 嬉しそうに雑談をするひなを横目にいつ本題を切り出そうかと頭を悩ませる。


「どうしたの?あやちゃん…」


 ひなは鋭くも私の浮かない様子に違和感を感じたようで心配そうに顔を覗き込んでくる。


「…あのさ、良ければなんだけどひなの連絡先一覧、見ても良い?」


 私はこの際だし、ひなの交友関係について改めて知ろうと思った。


 連絡先の一覧さえ見てしまえば『正樹くん』とやらもひなに近づこうとした不届き者も知ることができる。


 私の知らないひなを知ることができるはずだ。


「???私の連絡先?」


 ひなは私の突拍子もない言葉に疑問を浮かべているようだ。


 それはそうだろう。これでひなに嫌われてしまわないかと言ってしまったことに後悔し始める。


 いや、恋人としてお互いの交友関係を知っておくのは普通だ。


 今はまだ早かったかもしれないが、いずれは知っておくべきことのはずだし、私だって求められればいつでも見せる。……検索履歴以外は。


「別にいいけど…」


 ひなは自分のスマホを取り出し、ロックを解除してこちらに渡してくる。


 とりあえずは嫌じゃなかったみたいで安心だ。これで拒否されていたら3日は寝込んでいたかもしれない。


 背景の画像はももたことひなの飼い犬の写真が設定されているようだ。


「あ!あやちゃんのもみせてよ」


 ひなはどうやら少し面白がっているようで興味津々な様子で私に手を差し伸べてくる。


 私も特にやましさとかなにもないのでひなにスマホを渡し、暗証番号を口で伝える。いつ開かれたって困らないからね。


 私はひなのスマホに入っているメッセージアプリ、LIMEを開く。


 トーク一覧の一番上にはママと書かれたアカウント、その次には『あやちゃん』との文字。


 ひなのお父さんであったり、杏やみづきのアカウントや公式アカウント、クラスのグループなどが表示されている。


 少しスクロールすると件の『正樹くん』の文字が見えた。

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