第91話
結局役割としてはひながリーダーで鈴木さんと絵を中心に制作。私と紫苑は周りの装飾などの空間演出をすることになった。
とはいえ文化祭は2ヶ月後のことだ。油断は大敵ではあるが、少しづつ放課後にやっていこうということで今日は解散。
「ねー親睦を深めるためにクレープでも食べに行こうぜ!」
「遠慮しとく」
「あ、私も今日は…」
「冷たいなっ!」
かまって欲しさ満開な鈴木さんをいなしつつひなに寄りかかりつつある鈴木さんをひなから引き離す。
「ねね、浜崎さんは?」
「あっ私は別にだいじょうb」
「ひなは私と用があるから」
「なんだい!みんな連れないなぁ」
ひなの腰を抱いて引き寄せることでようやくひなと鈴木さんの距離を開かせることに成功する。
鈴木さんの標的はひなから紫苑へと移り、紫苑は鈴木さんに『恋人いるの?』とか『好きなタイプは?』とかうざ絡みをされている。
この様子を見たら妹大好きシスコンこと純恋さんは怒り狂っているところだろう。この間アイラさんが紫苑にベッタリだった時に思い切りライアットを食らわせていたのを思い出す。
「あ、あやちゃん、用事って?」
ひなは二人に聞こえないようにこそっと聞いてくる。
「ん?あぁ気にしないで。二人きりになる口実だから」
そう答えるとひなは恥ずかしそうにしながらもボソッと『嬉しい…』と一人つぶやいた。
最近のひなはなんだか素直で可愛らしい。それだけ私に甘えられるようになったということなのだから嬉しい。
でも、最近のひなは他の人にも気を許し過ぎなのではないかとも思う。
さっきだって鈴木さんに腕を組まれて満更でもないような表情をしてたし、紫苑と話すときも前よりボディタッチが多い気がする。
杏や美月とだってそうで、ナチュラルに飲食物をシェアして間接キスをしている。
いくら同性だからって油断しすぎじゃないかと思うし、実は同じクラスの男子と連絡先を交換していたことを私は知っている。
ひなは可愛いから男子からはよく目をつけられてるし、ひなは油断しすぎというか、むしろ私を嫉妬させるためにわざとなのではないかと思えるほどだ。
「ねー!田代さん!西口さん好きな人いるっぽいよ!」
「知ってる」
「えぇ?!」