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第101話 ワイバーンの偵察と空爆



 


 


 辺境伯の軍に先行して、数体のティフォーネの使役竜……純白のワイバーンたちが空を舞っていた。


 


 これはエルが操るいわゆる先行偵察部隊とでも言える代物である。


 


 ワイバーンたちとエルの視界は共有されており、数体程度しか同時に見ることができないが、それでも上空から偵察部隊を派遣できるなど極めて有効的だと言わざるを得ない。


 


 ワイバーンたちは空を飛べるのは強力ではあるが、知性がないため偵察などはこうしてエルが視覚を共有しないと確認できない。


 


 そんな中、下の大地に恐らく伏兵であろう数百の兵士たちがあちらこちらに隠れているのが目に入る。


 


 恐らくは、地形を生かして辺境伯軍に奇襲をかけて打撃を与えようというのだろう。


 


 この世界では上空からの攻撃は珍しくはないが、それでも上空からの監視を完全に隠せるほどの偽装能力やら何やらが一般兵士が持っているはずもなかった。


 


 


 


『よーし、じゃあ敵軍の辺りに吊り下げた物を投下して~。』


 


 


 


 そのエルの思念の共に、偵察用のワイバーンたちは吊り下げた木箱を隠れていた敵兵士たちへと落下させていく。


 


 そこの中に入っているのは、火縄銃などで使われている黒色火薬である。


 


 そして、その火薬箱が落とされたのと同時に、純白のワイバーンたちは口から雷撃を放ち、火薬箱へと直撃させて火花を放ち、それによって黒色火薬の火薬箱を爆発させていく。同様に大体の敵軍の位置を把握し、そこに火薬箱を落として着火させるという戦術空爆によって、次々と敵軍は吹き飛ばされていく。


 


 何せこちらにはノーダメージで相手の手の届かない場所からの攻撃を仕掛けられるのだ。全くの無傷で敵を蹂躙できる。上手くはまればこれ以上の効果はない。


 


 


 


『やっぱり空爆は最高だぜ!これだけで我々は勝てるんじゃね!?』


 


 


 


 そう思いながら、さらにエルはワイバーンたちを飛ばしていくが、敵勢力も無力ではないし、それだけで押せるほど甘くはない。


 


 きちんと戦力が整っている都市部などでは、魔力障壁や幻影魔術によって防御され、バリスタなどといった対空兵器が襲い掛かってくる上に、魔術師たちが揃っているところだと、航空魔女部隊が編隊を組んで飛んでくることもある。


 


 それに対して数で攻めることはできるだろうが、今の視覚共有の状態で動かせるのは数体程度しかない。


 


 ここで貴重なワイバーンを損耗させてもいい所はない。威力偵察を終えたエルはそこで大人しくワイバーンたちを帰還させることにした。


 


 


 


『やっぱり空爆だけで勝てるほどうまい話はないかぁ。きちんと辺境伯と相談して戦略を組み立てないとなぁ。』


 

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