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第96話 進軍せよ。

「―――進軍せよ!!人類至上派などと言った愚か者どもを殲滅し!我々は自らの王都を、我々のアルビオン王国を取り戻す!!総員奮起せよ!!我らに竜の加護ぞあり!!」


 その辺境伯ルーシアの言葉に、彼女の配下の軍5千が一気に歓声を上げて進軍を開始する。辺境伯の軍は本来はこの国を守護するために最精鋭の練度を誇り、実戦豊富な兵士たちで結成されたこの国でもトップクラスの精鋭である。

 その彼らがついに進軍を開始したのである。……最もそれを倒すのは外敵ではなく内紛という締まらない話であったが。

 ルーシア自身も、エルから与えられたドラゴンスケイルに、ティフォーネが持ってきたエルダー級の竜の骨を削り出して作られた竜骨剣を手に、ルーシアは馬に乗って進軍を開始した。

 彼らの後ろには大量の食糧などを満載した重厚なウォーワゴンが多数存在している。

 いざという時は、このウォーワゴンを盾にしながら簡易的な防壁を構築し、その後ろから攻撃する予定である。

 そして、何より特色といえるのは、周囲を固める使役竜の一派である。

 外骨格装甲に固められた地竜たちと、空を飛翔する純白のワイバーンたちの一糸乱れぬ姿。そして、さらに軍の後部を固めている巨大な竜であるエルの姿。

 その異様ながらも威厳に満ちた軍の進軍は、非常に迫力あるものであり、その中継は非常に人気のあるものだった。

 ……これでボロボロに負けたら笑いものだな、という冷笑する声もあったが、その程度のことをルーシアが気にかけている余裕はない。


(本当はもっと軍備を整えたかったが……ここまでやったら後はもう後はなるようにしかない。まさに賽は投げられた、だな。)


 戦争にとって完璧というのはあり得ない。どんなに完璧にしたつもりでも、情報不足などで予想外の事態にはいくらでも陥る可能性はある。いわゆる「戦場の霧」というものである。現代でもこの霧は晴らすことができないのだが、この世界では言うまでもない。


(問題はこの隙を見計らって外国がこちらの国に攻め入ってくるかと思ったが、とりあえず様子見という所か。外国にこの国を好き勝手にさせるわけにはいかん。何としてもこのアルビオン王国を再統一して復興させなければならない。)


(しかし、ほかの選帝侯たちがどう動くか……ミストルティンを動かした人類至上派に与するほど他の選帝侯たちが愚かでないことを祈るしかないか。北部を支配している大貴族のザクセン公国をこちらの味方に引き入れることができれば挟み撃ちにできるのだが……。)


ともあれ、もう賽は振られてしまったのだ。ここまで来てしまったら最後までいくしかない、彼女は馬に乗りながらそう決意していた。





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