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第91話 神血試験型クローン体「ノイン」



 ……まず、私に与えられたのは痛みだった。


 意思と呼ばれる物がつく前から痛みは、私と共にあった。


 痛い!痛い!痛い!意識の中に選択肢が存在し、その指示に従わないと、猛烈な痛みが私に襲い掛かっていた。


 その意思に従えばよし。従わなければ激痛が走る形が何千回も繰り返されることになった。それを何度も繰り返せば、逆らうのが無意味であることはっきりわかる。


 さらにそれだけではない、




『よくやったな。私の言うことを聞けばお前にはご褒美をやろう。』




 その時にあふれ出した脳内に迸る快楽と爽快感!あれに及ぶものなど何もなかった。それを知ってから、ますます私はその声の言うことを聞くようになった。


 そして、それだけではない。私の脳内に強く叩き込まれたのは『憎悪』だった。


 自分の「姉」とされる実験体Uと呼称される存在。何不自由なく、幸せに暮らしている姉たちの存在。幸せで楽しそうな彼女たちの映像が次々と脳内にあふれ出し、それと共に自分の脳内に激痛が走り、姉たちに半ば無理矢理恨みをもたらされていった。


 言うなれば、むりやり目を開かれて電気ショックを受けながら幸せそうな彼女たちの生活を見せられているようなものだ。


 憎い!憎い!憎い!憎い!幸せそうにしている奴らは全て憎い!!


 何もかも粉微塵にしてやる!幸せで楽しそうな奴らを全て殲滅してやる!!そんな風に数千倍に加速された脳内の空間で、私はそういった教育を徹底的に受けていた。




「―――起きろ。神血実験型クローン体9番目『ノイン』。仕事の時間だ。


 お前に存在する意味を与えてやる。」




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー




カプセルから起動したばかりで、全裸の彼女に服を着させると、教授はそのまま杖を突きながら歩いていく。




「……よし、起動は完了したようだな。ついてこい。ノイン。」




まだカプセル外から出てうまく体が動かせない彼女だが、それでも何とか体をよたよたと動かしながら彼女はその後をついていく。


まだ出たばかりでうまく歩けない彼女に手を貸さない理由は、そちらの方が彼女自身の肉体の動かし方を理解しやすいというのがある。




「あ、あの……マスター。これからどこに……?」




「ついてこい。これからお前のオリジナルに合わせてやる。」




そして、お前がどんな反応をするか計測させてもらおう。


きちんと洗脳教育が上手くいっていればいいが。そう彼は心の中で呟いた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


すみません、風邪を引いて体調が悪いので短めにさせていただきます。

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