表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

87/119

第89話 人類至上派の現状。



 さて、一方の人類至上派だったが、プロパガンダ戦略も周辺の貴族を引き入れるのも今一上手く行っていなかった。


 周辺の貴族からはクーデターで地位を奪い取ったという地点で仲良くなれるはずもないのに、何をトチ狂ったのか王家の人々すら葬り去り(彼らの視点)それにもまして、「人類は皆平等!!我々人類こそ世界の頂点に立つべき!」という人類平等説は貴族にとって極めて目障りな思想だった。


 それは貴族こそが偉い存在である!という貴族主義とは水と油であり、貴族たちはそれを面白くない、と思いつつも、様子見を伺っていたのである。


 だが、保守派……辺境伯にして選帝侯であるルーシアが王家の末裔を自称する女性を担ぎ上げたのをきっかけに、目利きのいい中立派の貴族たちはどんどんあちら側へと流れ込んでいった。




「ええい忌々しい!!なぜ我々の崇高な信念を理解できんのだ!!あいつらも同じ人類だろう!!」




「だが、朗報もある。実験体Uの血液から魔術的クローンを生み出せることに成功した。これで血液の問題もなくなった。ミストルティン起動さえできれば我々の勝ちだ!!」




 おおおお!!とその場にいる人間は一斉に歓声を上げた。大量のクローンさえあればミストルティン起動の神血の問題は解消される。


 後はこのクローン……もとい血袋たちから血を絞りつくせばいいだけの話だ。


 どうも研究の結果忌々しい竜の血によって神血の効果が低下してしまっているらしい。さらにそこに劣化クローンである血袋たちではやはり質が低下してしまうのは致し方ないことだろう。




「それにはいい案があります。血袋どもと他の生き残りの王族の分派どもを交わせればいいのです。それで血の薄さはカバーできるのでは?」




「それには時間もかかりますし、クソ下らない倫理観とやらに反するようですからな。全く公開処刑を娯楽にしているくせに我々に対して倫理観を語るとは……どの口で語っているのか!!ともあれ、それは人工授精で行ってみましょう。」




「洗脳強化型兵士の育成も順調です。これらが大量生産が行われたのなら、人間の兵士ごとき粉みじんですぞ!!怪物と亜人の融合型生体兵器も現在研究中じゃ。これらの大量生産が成功すれば、あやつらの兵士ごときはたちまち踏みつぶせましょうぞ!!」




「後は提案があるのですが、実験体Uのクローンを促成栽培して、王家の血を引く存在として我々の旗頭に仕立て上げればいいのです。もちろん、徹底的に洗脳術式など施して完全に我々のいうことを聞いてくれる旗印を。民衆は単純なものですから、それで簡単に騙されてくれるでしょう!!」




おおおお!!とその場の皆はその提案に立ちあがって拍手を行った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ