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第88話 レジスタンス活動(情報)



 辺境伯にして選帝侯であるルーシアと竜が手を組んだという映像は、凄まじい勢いで界隈を駆け巡った。亜人たちを守護するために立ち上がった竜に対して大歓声を上げる亜人たち。竜が仲間になることに不安を抱く市民たち。そして、一番怒り狂ったのは当然ながら人類至上派を筆頭とするクーデター軍だった。


 選帝侯は怪物に魂を売った!!人類の名の元粛清すべし!!と叫び、国民に決起を促した。だが、それらのプロパガンダ演説は全く功を奏さなかった。




《バッカじゃねーのww人類の名の元ってどんな権限があって言ってるんだよww》


《あなたのいう人類って誰のことですか?奴隷?》


《人類のため!(キリッ)おう。お前らこの映像の人たちに対して同じこと言ってみろや。つ【例の動画のアドレス】》


《差別主義者よりも面白ドラゴンのほうが遥かにマシやで!!》


《クソ野郎と美少女どっちを取る?美少女だよなぁ!!》




 そう、大量の工作員が流れ込んで片っ端から人類至上派のプロパガンダ演説を片っ端からバカにして嘲笑しているのである。


 こういう宣伝に真っ先に効果的なのは【嘲笑】である。


 人間誰しも勝ち組に乗りたいものだ。皆からバカにされているところになど入りたくはない。そして、人間は実に流れに流されやすい生き物である。これは自分の同じような場所にいくと自分の意見が肯定され、価値観の似た者同士で交流・共感し合うエコーチェンバー現象を逆用したものだと言える。


 例えていうなれば、「地球のため!!」と言いながらテロやボイコットをする傍迷惑な奴らがいれば、他の人間から白眼視されるだろう。


 こういった大量の工作員は、ユリアのチャンネルを見ていた視聴者である。「本当にこんな奴らが役に立つのか?」と思われがちだが、彼らも彼らで独自の行動を行っていたのだ。そして、彼らは他にも別の行動を行っていた。


 それは、電子魔術空間の中でアヴリルが作り上げた特殊なキーワードと魔術波長確認が入れない閉じられた文字だけの空間。いわゆる「掲示板」だった。




《よっすー。》


《こんちわー。》


《で、王都の状況はどうよ?》


《俺の集めた情報はこっちで兵士の区分はこちら。》


《なるほど……。武器工場と食糧庫の様子はこっち。もうカラカラやんけ。》


《これ見た感じ外国からの食糧支援とか色々受けてそうな予感。》


《しかし、これどこからどう見てもレジスタンス活動やんけ。大丈夫かお前ら?》


《いやぁ私たちは王都の情報交換をしてるだけですからー。(棒)》


《せやせや。ワイらは情報交換しとるだけやで。(棒)》


《ワイは弱いから拷問とか食らったらベラベラ喋るからよろしくな!!》


《うーんこの。》




 それを見ながら金髪のツインテールをしたアヴリルは腕を組みながらふむ、と考え込んだ。まあ、対拷問の訓練も受けていない素人が捕まったら情報をベラベラ吐くのは想定内である。見つかったらすぐさま証拠を残さずにここを消すことも考えている。




「やはり……パルチザン活動を行うことも必要ですか。軍事訓練を行える人や装備なども王都へと送ってこちらの味方をしてくれる陣営を作ることも必要ですかね……。」




 そんな事を考えながら、アヴリルは辺境伯に相談を行う事を結論を出した。

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