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第78話 作戦会議



 レイアに忠誠を誓う事を宣言した辺境伯ルーシア。


 辺境伯は辺境に存在している田舎貴族と思われがちだが、実はそうではない。


 辺境域から異種族などが襲い掛かってこないように国土を防衛を行う防衛の要であり、そのため極めて強大な権力と武力を手にしている存在である。仮にここが反乱を起こすということは「国が分裂する」ということを意味している。


 おまけに、ルーシアは辺境伯領主であると同時に選帝侯でもある。


 そんな彼女が立ち上がったとなれば、賛同する勢力もあるだろうが、それでもまだ戦力的には足りない状況である。




「さて……。これからの状況だが、とりあえず何はともあれ我々の戦力の足固め、つまりは戦力の補強を行わなければならない。旗頭のない保守派についてきている貴族たちは少ないからな。だが……今は違う!」




キリッ!と顔を引き締めながらルーシアを手を振りかざして言葉を放つ。




「今はこうして王家直系の生き残りが存在する。これを旗頭にすれば一気に日和見の中立派もこちらに雪崩れ込んで……とそう都合よくはいかんだろうなぁ。」




「そうですね……。単に発表しただけでは『どこぞの馬の骨を適当に引っ張り出してきただけだろ』と思われるのが関の山ですからね。中立派を何とかこちらに引き込むだけの旨味を与えなければなりません。」




 中立派の立場からしたら「市井からぽっと出てきた王家の直系?どこからどう見ても嘘だろこれ。」と一蹴してしまうのも理解はできる。


(辺境伯であり選帝侯である私の言うことに異論を唱えるのか?と強硬策に出ることもできなくはないが、それでは心から従ってくれるとは到底思えない)


 そして、ミストルティンを起動してしまえば、流れで中立派の多くが向こうについてしまう可能性は高い。


 ここを何とかしなければならない、というのは皆の共通認識である。




「……。なるほど。それならばこちらに考えがあります。まずこちらには”配信”という大きな武器があります。ここに優位な演説を行って世論を味方につけるというのはどうでしょうか?」




 これは、いわゆるプロパガンダ演説である。


 ナチスもしかり、プロパガンダ演説というのは民衆の心を掴む大きな力をもっている。ましては”配信”という大きな情報媒体を持っていればなおさらである。


 クーデター軍、人類至上派が亜人に対して弾圧を行っているというのは、すでにあちこちから情報が伝わっている。さらにこれだけではインパクトが薄いので、人類至上派が行っている闇の行為を暴露・糾弾すればいい。




「でも、そんな映像なんて……。」




「あ、ありますよ?人類至上派が密やかに権力者にだけ配信していた悪趣味映像の数々が。辺境伯様からお話は聞いていたので、パスワード方式だったので、ちょちょいといじってみたらパスワードの不正取得ができたので中身を除いて悪趣味映像を入手できました。」




 何この女……。こわ……。という目でそこにいる皆は思わずアヴリルを見てしまう。ともあれ、それをバックにしながら人類至上派を糾弾する演説をすればかなり民意はこちらにつくはずである。




(ええと……確か前世でナチのプロパガンダ演説のこととかやっていたっけ。


 「テーマや標語を絞る」「あまり知性を要求しない」「大衆の情緒的感受性を狙う」「細部に立ち入らない」「信条に応じ、何千回と繰り返す」だったか。後でアドバイスしておこう。)




そのエルの考えをよそにさらに会議は進んでいた。




「ですが、それではまだ弱いですね……。世論が味方になっても肝心の貴族たちがこちらについてくれなければ話になりません。先ほどの話に戻りますが、貴族たちに対してこちらにつく旨味を見せなければ……。」




ううむ、と腕を組むアヤやアヴリルだったが、それに対して、辺境伯ルーシアはエルたちを見ながら言葉を放つ。




「うむ、それで、君たちに頼みがある。いいかな?」

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