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第77話 辺境伯、忠誠を誓う。



「……。なるほどな。事情はよく分かった。それで私にも力を貸してもらいたいというわけか。」




 この状況を聞いたアヤは大至急伝手を通して、辺境伯領主ルーシア・フォン・フォーサイスに連絡を取り、辺境伯領の城への謁見を申し出た。


 だが、竜と謁見を行ったと皆と知られるとまずい、という判断により、彼女が直接「狩り」と称して馬までここまで駆けてきたのである。




『何なら我の渡した鱗を使ってくれてもよかったんだけど……。』




「こういう重要な話はきちんと会って話をするのが筋というものだろう?それで、きちんとした状況を知りたいのだが。」




 かくかくしかじかとルーシアは現状を聞いて、ふむ、と顎に手を当てて考え込む。


 彼女としてもここまで急激に事態が動くとは予想できていなかったのだろう。正確な情報をもらった彼女は深刻な表情で考え込む。




「なるほど……。それはこちらにとってまずい展開だな……。」




 考え込んでいるルーシアに対して、小型化しているエルは彼女の真意を聞き出すために言葉を放つ。もしもここで彼女が人類至上派と戦う気がなければこの地点で詰みだ。しかし、彼女は以前から王都に存在するクーデター軍、つまり人類至上派と戦う姿勢を見せている。その心配はないはずである。




「ともあれ、竜様はユリアを取り戻すために奴らと戦う気なのだろう?了解した。我々は運命共同体であり仲間であるという事だ。お互いに協力体制、同盟を組むということに否はない。」




 それを聞いて、エルたちは思わずほっとした。辺境伯という巨大な武力に加え、人類社会に対して大きな権力を持っている彼女が力を貸してくれるというのは、極めて大きな意味合いを持つからだ。


 しかし、王都を占拠したクーデター軍に対して、こちらの保守派はあまりに劣勢である。それはほとんどは様子見の「中立派」が非常に多いためである。


 ここから逆転するためには、この中立派を何とかこちらに味方に引き入れなければならない。だが、その劣勢を逆転する手段が彼女……いや、エルの手元にはあった。




「ところで、その王家の血を引く女性……レイア様と会わせていただいてよろしいか?」




 ええよ~とエルは気軽にルーシアの意見を了承する。保守派であるルーシアがレイアを傷つけるはずはない。これから手を組んでクーデター軍、人類至上派と戦う気なのにそんな同盟を壊すような真似はしないという考えである。


 レイアが部屋へと入ってくると、ルーシアは彼女に向って膝をついて手を取りながら恭しく話しかける。




「よくぞ……。よくぞご無事で……!あの混乱からよく生き延びられた……!不肖このルーシア。全身全霊を持って仕えさせていただく所存です。」




 涙ぐみながらもルーシアはレイアの手を取って忠誠を誓う。いかに双子で一般市民として生きていた彼女にであっても、ルーシアから見たら立派に使えるべき主なのだろう。ともあれ、こうして辺境伯ルーシアも全面的にこちらに力を貸してくれることになったのである。

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