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44話 拠点侵入。



『すにゃぴすにゃぴ……。』


 


 大迷宮の最上階は、ある程度は人間たちの拠点地と認められているが、基本的にはエルの住処として機能している。


 酔っぱらった冒険者や、ドラゴンの寝首をかこうとする冒険者たちを恐れて、以前ゴブリン用に張っていた結界をそのまま維持しており、それは彼の防壁となって安心して眠ることができている。


 だが、そんな安全に眠っている彼の元に不審者がその内部に入り込んでいた。


 それは、あのグレンデルを使用して冒険者の人類至上派のスパイが侵入してきたのである。音を立てないように皮鎧に剣やら武器やらを手にした彼らは、できる限り音を立てないようにその中へと侵入していく。


 


(音を立てるな。食べ物あたりに毒を入れられればいいが……そうでなくとも、毒の塗った剣を突き立てれば……。)


 


 そういいながら、結界をすり抜けていく彼らだったが、それだけではない。


 彼を守護するシステムはまだまだあったのだ。


 食料製造用や荷物を運ぶためにあちこちで働いているストーンゴーレム。


 そのゴーレムの目をすり抜けることまでは出来なかったのだ。


 念のため、不審者を発見した場合、容赦なく攻撃してもいい、とゴーレムにはインプットされている。彼らを発見したゴーレムは、不審者に対して攻撃を仕掛けてくる。


 


(くそっ!急げ!このままでは全て台無しだぞ!!)


 


 ゴーレムはグレンデルに任せ、彼らは疾走してエルのいるであろう場所に向かう。


 これではエルに気づかれてしまうので、その前に彼を倒さなければならない。


 だが、入り組んだ道は彼らの行く先を見事に迷わせることになった。


 そして、その隙や騒音をエルが聞き逃すはずもなかった。


 


『なんじゃお前らー!!ウチの住処で何してるんじゃー!!』


 


 せっかく安心できる場所で安らかに眠っていたのにいきなり騒音を立てて入り込んだ人間に対して、エルはブチ切れながら目の前の人間に襲い掛かっていく。


 酔っ払いで入り込んだ人間の可能性もあるが、この場所に入り込んだら遠慮なく排除すると通達してある。文句はあるまい、とエルは彼らへと襲い掛かる。


 


「!!?」


 


 冒険者もどきたちは、手にした剣を構え、そのままエルへと襲い掛かっていく。


 どのみちやるべきことは変わりない。殺意満々で襲い掛かってくる彼らに対して、エルは戦闘態勢に入る。手を振るって鉤爪で排除しようとするエルに対して、彼らはステップを踏みながらその大振りの一撃を回避し、エルから離れようとせず、むしろ彼の懐に飛び込んで攻撃しようというのだ。これは明らかに訓練を受けた人間の動きである。まるでハエのように、エルの肉体を足場にしながらひょいひょいと飛び回る。エルもそれを払うように腕を大振りするが、中々捉えられずに思わず焦れてしまう。いわゆる中国拳法でいうところの”粘剄”に似たような感じである。


 もちろん、この世界に中国拳法があるはずもないので、結果的に似たような技術になっているということは、彼らがかなりの使い手なのだろう。


 


『クソァ!!めんどくさいことしやがって!!』


 


 その相手の剣は全て竜の鱗ではじき返されてるが、これが弱い部分に突き刺さってはたまったものではない。このまま張り付かれてしまっては厄介極まりない。


 そのため、エルは体中から外部に対して弾き飛ばすように重力魔術を発動する。


 それによって、張り付くような行動をとっている彼らを弾き飛ばそうとしているのだ。弾き飛ばされた彼らは壁に叩きつけられる。


 


『オラァ!!大人しくしろ!!このまま叩き潰すぞ!!』


 


 だが、彼らは捕えられるよりも真っ先に死を選ぶタイプだったらしい。二人はとあるビンの中身を飲み干して叫ぶ。


 


「我ら全ては人類のために!!人類のために!!」


 


 それだけを言うと、彼らの肉体……主に頭がボコボコと膨れ上がり、まるで風船のようにパァンとその頭がはじけ飛んだ。


 


『グァアア!!我の住処でグロ画像見せるなぁあ!!後始末大変だろうがぁああ!!』


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