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第37話 ゴブリンたちの逆襲2



  アヴリルの攻撃を受けてもはや隠す必要がないと判断したのか、次々と三体ものグレンデルが結界内部に姿を現す。


 当然、竜が作り出した結界内部に怪物が現れるなど大騒動で、皆パニック状態になってしまう。




「うぁああああああ!!怪物だぁああああ!!怪物が内部に入り込んでいるぞ!!」




「皆逃げろぉおお!!怪物たちが入り込んできたぞおおお!!」




 結界内部は安全だと安心していた住民たちは、いきなりのグレンデルの侵入に、パニックになって右往左往している。


 これから思う存分人間食らい放題だぜ、と喜んでいたグレンデルに対して、再度マジックミサイルの連射が襲い掛かり、グレンデルへと叩き込まれる。




「早く避難しなさい!アレには人間の武器は通用しませんよ!!」




 確かにグレンデルには人間が作り出した武器は通用しない。だが、魔術攻撃なら問題なく効果が出る。そのマジックミサイルの乱射によってダメージを負ったグレンデルは、魔術を放ったアヴリルに襲い掛かる。




「だったらこれならどうですか!!《脱水》ッ!」




 強靭なグレンデルに対して、彼女は直接的な攻撃魔術ではなく、彼女は間接的な攻撃魔術を使用する。肉体から水分をすいとる脱水は、強靭なグレンデルに対して、内部から攻撃を仕掛けられると極めて有効だった。


 水分を吸い取られ、よろよろとよろけるグレンデルであったが、さすがにそれだけで倒せるほど甘い敵ではない。


 冒険者たちは手にした武器などでグレンデルに対して攻撃を仕掛けるが、だが、人の武器が通用しない能力を有しているグレンデルは、それらを全てはじき返す。


 


『うおおお!突撃ィイイイ!!』




 その時、まるで弾丸のように小型化したエルが凄まじい勢いで空中を切り裂きながら、グレンデルの顔面へと直撃する。


 顔面に張り付いたエルは、そのまま巨大化し猛烈な質量でグレンデルを押し潰していく。


 さらに怯んだグレンデルに対して、その爪をふるい、強靭なグレンデルの肉体をまるで紙切れのように切り裂く。グレンデルの能力はあくまでも人間などの武器によるもの。


 同じ怪物であるエルの爪を防ぐ事など到底できない。




『ウチのシマに手を出しやがって!!ただじゃすまさねえぞ!!』




《ヒューッ!!さすがドラコン!そこに痺れる憧れるぅ!》


《見ろよあの鋼のような筋肉を!こいつはやってくれるかもしれねぇ!!》


《まあ、実際叩きのめしているんですけどね。》




 実際、彼の爪の元では、強力な怪物であるグレンデルもただではすまない。エルの振るう爪の鋭さに前に、彼らは次々と切り刻まれて、血を吹き出しながら倒されていった。


 だが、グレンデルは倒されたものの、レッドギャップはさらに開拓村周囲へと潜んでいく。街から出てくる人々を狩るために街の周囲に潜み、ゲリラ戦を行うためである。




 本気を出したエルの姿に、ゴールドラッシュに沸いて集まってきた新入りの居住者たちも畏怖と敬意を持って見守る。


 そんな中、彼らを忌々しげに見つめる、フードを被った冒険者のような二人の存在があった。




「………。やはり上手くいきませんでしたな。」


「まあ、所詮下劣な怪物ども。この程度でしょう。」


「まあ、それでも怪物どもを強化させる魔術の実験データは手に入りましたからな。これでよしとしておきましょう。」


「怪物どもも我々人類の役に立てて喜んでいるでしょうな。怪物など、我々人類の下僕になるべきでしょうからな。後は制御方法を見つけましょう。さあ、早く帰りましょう。」




そういいながら、人類至上派のスパイである冒険者たちは、そのままその場を立ち去っていった。

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