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第32話 謎の超絶強力美少女経産婦『T』



 炎に焼かれたマンティコアは、それでも中々死なずのたうち回っていた。


 そして、火炎に焼かれながら飛び出して来て、ユリアたちへと襲いかかろうとした。だが、そうはさせじにエルは、二人の真正面に立って真正面からマンティコアを受け止める。


 とっさだったので、石壁を張ってる余裕がなかったのである。


 表面や髪の毛を炎に焼かれながらも、マンティコアは必死になって爪を振りかざす。


 その爪はエルの竜鱗に弾かれるがそれでも多少は彼の肉体を傷つける。




『いい加減諦めろやこらー!!』




 エルはそのままマンティコアの胴体に噛みつくと、しっぽに手をやってそのまま引きちぎろうと力を込める。


 ぶちぶちと引きちぎられていくマンティコアのしっぽ。だが、それでもマンティコアは、エルの顔面に毒針のあるしっぽを叩きつけようマンティコアとする。とっさにそれを受け止めるエルだが、毒針が弾け飛びそれが竜鱗を貫通してエルの腕へと突き刺さる。




『ぐあああ!いってぇえええ!ふざけんな!!』




 傷口から血を流しながら、怒り狂ったエルは、マンティコアへ、自分の鍵爪を手刀の形にしてそれをそのままマンティコアへと突き立てる。


 それも一回ではない。何度も何度も突き立てる中、ついにマンティコアは動かなくなっていった。念のため、マンティコアの首を爪で切り落として、その首を投げ捨ててようやくエルは一息つく。




『マジいってぇ……。ふざけんなよクソが。』




 エルは腕から毒針を引き抜く。傷口自体はたいした事ないが、マンティコアの毒針には猛毒が存在する。


 一応、傷口を吸って毒諸々血を吸い出すと、それを地面へ吐き捨てる。




『ユリア、確か毒消しのポーションとかあったよね。どこまで効くか解らないけど、念のため……。』




 その瞬間、まるで周囲が昼間になったかのように目映い光に包まれる。


 その光と共に現れたのは、まるで銀そのもので、作り出したような銀髪に、切れ長の瞳、まるで新官のような白いローブを纏った大きい翼と尻尾を持った絶世の美人だった。


 杖を手にした儚げな美貌を持った彼女は、傷をおったエルを見ると呆れたように肩を竦めて呆れたような表情を浮かべる。




「やれやれ、あの程度で傷を負うとはまだまだ未熟ですね。とはいえ、貴方が傷やら毒やら負っているとシュオールが切れそうですからね……。」




 彼女は手にした杖をエルに向けると、たちまち傷口は癒えていき、体の毒素も消えたのか瞬時に気分が楽になっていく。


 いきなり現れて傷の治療や毒消しをしてくれた、謎の怪しすぎる女性を見てエルは恐る恐る問いかける。攻撃を仕掛けてくるのではなく、いきなり治癒魔術などをかけてくるとなれば、少なくともこちらに対して敵対的な存在ではないと考えたのだろう。(もっとも、いきなり現れていきなり治癒魔術をかけてくる美人など怪しすぎて警戒するのは当然だろうが。)




『あ、ありがとうございます?あ、あの、貴女は一体?』




「私の名前ですか?そうですね……。謎の超絶強力美少女経産婦にして、貴女の母親、シュオールのママ友でもある『T』でも名乗っておきましょうか。」




 ふむ、と顎に手を当ててしばらく考えた後で、ビシッ!!と謎のポーズをとって、そのTと名乗る謎の女性はエルの言葉に答える。


 実情を知っている者がいれば、数億年生きてきてしかも子供まで生んでいるのに「美少女」を名乗るのは面の皮厚すぎるんじゃない?とでも突っ込みを入れるのだろうが、残念ながらこの場に彼女の実情を知っているものは誰もいなかった。




《美少女で経産婦……?ちょっと言ってる意味が解らない……。》


《何言ってるんだこいつ?(困惑)》


《これは間違いなく狂人。はっきりわかんだね。》




「まあ、別段礼を言われる筋合いはありませんよ。私は貴方の母親であるシュオールの知り合いとでも思っておいて下さい。貴方が毒で倒れられると、シュオールがマジ切れしてヤバい事になるので、ちょっとサービスしただけです。」




 地竜には毒に対して強い免疫を有している。猛毒とはいえ命を落とすのはないとは思うが、どうなるか分からないため、シュオールが怒り狂って暴れまわる前にさっさと彼女はエルの毒を癒しにきたのである。(傷を治したのはついでのサービス。)


人間や竜人ではありえないほどの膨大な魔力を保有している目の前の存在が、人知を超えた超絶的存在だと直感的に悟ったエルは、




『あの……。貴女はマミィのママ友っていうことはもしかして貴女も人間ではない……?』




そんなエルに対して、Tは呆れたようにチッチッチッと指を振りながらエルに対して言葉を放つ。




「そんな細かい事はどうでもいいじゃないですか。細かいことに拘っていては長生きできませんよ?私のように数億年生きるためには、細かい事は受け流すのがコツです。人間など何百人くたばってもどうでもいいですが、仲間の息子が傷つくのを放置するのは流石の私でも後味悪いですからね。」




 数億年?とエルが疑問を浮かべているのを気づいたのか、あっ、やっべ、と彼女は慌てたように口を閉じるとそのまま言葉を続ける。




「まあ、頑張ってこれからも迷宮を攻略していきなさい。それが貴方の母親、シュオールの望みでもあります。それでは。」




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お読みいただきありがとうございます。




面白いと感じていただけたら、☆☆☆やフォローをいただけると嬉しいです。




謎の美少女T……。一体どこの空帝ティフォーネなんだ……。

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