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第12話 ゴブリンの巣穴にダイレクトアタック



 開拓村を二つも保護し、力を与えるという予想外の事態になったエルだが、ある程度落ち着いた以上、片づけておきたいことがあった。


 それは大迷宮周辺に存在するであろう以前塞いだゴブリンの巣穴である。


 一応塞いだことは塞いだが、全滅させたわけではない。今度は巣穴から這い出して大迷宮に侵入したり、開拓村にちょっかいを出すことも十分に考えられる。


 放っておいても得になることは何もない。潰せるうちに潰しておいたほうがいいだろう。大迷宮最上層部の結界を張った自分の拠点に、ユリアとレイアを招いて彼は


 


『ちょっと頼みがあるんだけど、レイアはスカウトなんだよね?じゃあ大迷宮周辺を調べることはできる?多分、ゴブリンの巣穴があると思うんだけど、そこを調べてほしい。』


 


 一応大迷宮とゴブリンの巣穴は塞いだ物の、まだ巣穴は生きている可能性は十分にある。大迷宮のすぐそばにゴブリンの巣穴があると思うとぞっとしない。


 ゴキブリの巣穴が近くにあって安心して眠れないのと同じである。


 


「ああ、竜様が塞いだという大迷宮に通じていたゴブリンの巣穴ですね。でもあれは封じたはずでは?」


 


『まあね。でも近くにゴブリンの巣穴があると思うとどうもね。できる限り潰したい。俺の安全と安眠のために。』


 


 その言葉に、レイアはこくり、と頷くと大迷宮を出てその周囲を探索する。基本的にゴブリンは小賢しいため、自分たちの拠点を探られるのを極端に嫌がる。だが、それでもスカウトと誤魔化しきれるほどの腕はない。


 どうしても獲物を自分たちの洞窟に引き込むための獣道はできてしまう。


 さらに、ゴブリン特有の緑の体毛なども確認したレイアは偽装されていたゴブリンの巣穴を簡単に見つけたらしい。


 レイアが見つけたゴブリンの巣穴を見ると、警備用のゴブリンが数匹うろうろしているため、まだあの巣穴は「生きて」いるらしい。


 水を流し込んだだけでは嫌がらせ程度にもならなかったのは、流石にゴブリンである。ともあれ、レイアに頼んで風下からこっそりと近づき、彼女は見張りのゴブリンをクロスボウで狙撃して、もう一匹のゴブリンも騒ぎ出さないうちにユリアの弓で狙撃する。


 騒ぎ出さないうちに仕留められたのは流石にいい腕である。だが、ここで時間をかければ見張りがやられたと騒ぎだして厄介なことになってしまう。それならば、自分のお得意の土魔術で洞窟自体を滅茶苦茶にしてやればいい。


 


 エルは小型化したまま、ゴブリンの巣穴の前に立つと、それはもうぐっちゃぐちゃにしてやろうと思わず悪い笑みを浮かべる。


 まずは彼得意の土系呪文の「石壁作成」で巣穴の出入り口を塞ぐ。(まあ出入口はここだけではないだろうが)


 大量の毒や水など流し込めればいいのだろうが、多少水を流し込んだだけでは無理であるというのは、以前でも証明済みである。


 


 そして、この下10mほどを「土変化」「石変化」の魔術をかけて洞窟の壁を全て柔らかい土へと変化させる。固められた土だろうが岩だろうが関係ない。全て柔らかい土に変えてしまっては洞窟自体を支えるものがなくなってしまう。


 当然、柔らかい土は洞窟を支えられず、ずずずと地盤自体が下がって洞窟自体が潰れていくのが地盤が下がったのと音で確認できる。


 10mより下のゴブリンたちは無傷かもしれないが、生き埋めになっている可能性も高いだろう。(他の出口にいく可能性も高いが)


 ともあれ、これで少なくとも多少はダメージを与えることはできただろう。あとはまた生き残りがいたら考えればいい。


 一応、《土中視覚》で地面の中を10mほど見て回ったが、洞窟らしきものは全て埋まってしまっているようである。


 大迷宮攻略やら何やらで忙しいのにいちいちゴブリンの巣穴に入り込んで、ゴブリンを一匹一匹潰していくなんてそんなことやってられるか、というのが本音だ。


 もしかしたら、孕み袋になっている女性たちもいるかもしれないが、そこまで救っている余裕などこちらにはない。こちらとしては成仏(この世界では仏はいないだろうが)を祈るしかない状況である。


 


『これでとりあえずヨシ!!とりあえず開拓村の近くでもゴブリンの巣穴とかないと確認しないとなぁ。せっかく手にした人類社会のツテを潰すとかもう許さねぇからな、お前。』


 


《草。》


《変な構文を入れてくるな。》


《まあここから這い出して開拓村とか襲うとめんどいからね。しゃーない。》


 


とりあえず、近くにあるゴブリンの巣穴をある程度潰した事で、こちらや開拓村へのちょっかいをかけてくるのは難しくなるだろうから、とりあえずヨシ!とエルは判断した。

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