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第122話 中央指令室での戦い6

 ノインの痛みを癒すためにノインに魔力を注ぎ込む教授。そんな彼らを横目で見ながら、ユリアを抱えたエルは飛び去っていった。


 もはやここに残っているのは彼らしかない。だが、そんな彼らの元に、異様な存在が瓦礫の山の中をうじゅるうじゅるとのたうち回る肉塊が存在した。


 それは、ノインが魔術炉心へと変貌した元魔術師の肉塊である。


 魔力炉心となって飢えている彼らは、魔力を限界まで搾り取られ、魔力を求めてその辺をずるずると彷徨っていた。


 そして、身動きの取れない教授に向けて、それらの肉塊は、牙をむき出して教授へと噛みついていく。


 飢えた肉塊に対して、極めて強大な魔力を有している教授はまさに闇夜に光り輝く光源のようなものだ。魔力に餓えた肉塊が教授に噛みついていくのも当然である。


 だが、強大な戦闘力を誇る教授ならば、こんな肉塊など手を振れば瞬時に殲滅できるはずである。




「どうして……!教授なら、そんな肉塊なんて瞬時に潰せるはずなのに……!!」




 上半身だけのノインは、その信じられない光景に思わず顔を歪める。


 小型で戦闘力を抑え込んだ竜とも互角に戦える教授が、あんな肉塊ごときに食らいつかれるなど信じられない。


 教授を心から信じているノインは、思わず絶叫する。




「やだ……。やだやだ……!やめてください……!私を、私のほうを食べて!教授を食べないで!!私が悪かったから!!悪かったから謝ります!!だから許してぇ!!」




 その肉塊から貪り食われながら教授は淡々と口を開く。




「ノイン、お前にはこれを教えることはできなかったな。悪いことはやってはいけないことだ。悪い事をやればその報いは自分に返ってくる。お前は村を焼き払うのも、彼らをこんな風にすることもやるべきではなかった。止めなかった私が一番悪いが……。人類至上派の監視の元では、私にそれを教えることはできなかった。許してくれ。これがせめてもの私の贖罪だ。」




「ごめんなさい……。ごめんなさい!ごめんなさい!ごめんなさい!皆、私が悪かったんです!!許してください!!」




泣きじゃくるノインに対して、教授は優しく彼女の頬に手を当てる。




「一番悪いのは私だ。お前の罪は私が背負おう。元に地獄に落ちよう。私はダメな親だが、それくらいはしなければな。」




そして、その中で、ついに蓄えられた魔力が暴走し、ミストルティン自身が自壊しながら眩い神力を解き放つ。それは自爆にも等しかった。


その眩い光に包まれながら、泣きじゃくるノインと優しい笑みを浮かべる教授は光の中へと消えていった。

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