第105話 ミストルティンの主砲
「ハハハハ!ざまあみろ!皆不幸にしてやる!!そうだ!私がこの神器を手にしたことこそが弓神の思し召し!!全ての人類を私たちが支配しろという思し召しなんだ!!全ての人類を私と同じぐらい不幸にしてやる!!私にはその権利がある!!不幸な私には全人類全てを不幸にできる権利があるんだ!!」
高笑いしながら弱者を踏みにじる快楽を学んだノイン。
歪んだ考えによって生み出された彼女は、もはや完全に加害者へと変貌してしまったのだ。あの街は人類至上派の街ではあるが、いくらなんでもやりすぎだ!と人類至上派に対する反対勢力が多数出てしまい、力づくで人類至上派から離れようとしていたのだ。上層部は「我々に逆らったらこうなる」という見せしめ&引き締めのために街の殲滅を命じたのであった。
彼女はまだ生き残りの人々に対して、哄笑を上げながら遠慮なく魔術砲撃を叩き込んでいき、まだ生きている人々を殲滅させていく。
ここまで来たら、もはや行くところまで行くしかない。
ノインは王座につきながら、次の指示をユリアに対して下す。
「よし、では次は主砲を撃ちますか。一撃ぐらいなら試射しても構わないでしょう。主砲展開!!狙いはあの山を!!」
その言葉と同時にミストルティンの全体からまるでハリネズミのように機体のあちこちから避雷針のような金属の針が無数に装甲から展開していく。
これは、空中に漂うマナとよばれる魔力を無理矢理吸収し、さらに地脈の魔力も無理矢理吸収しようというものである。
そして、その膨大な魔力を神力へと変換し、弓形の中心部に、極めて強力な神力で構築された巨大極まりない光の矢とそれを打ち出すための光の弦が構築される。
人類至上派からすれば、反人類至上派の街も二、三個吹き飛ばせ、というのが本音だが、教授がそれを跳ねのけたのである。
「主砲、撃てぇえええ!!」
そのノインの叫びと共に、巨大な光の矢が引き絞られ、凄まじい勢いで光の矢が射出され、猛烈な勢いで大気を引き裂きながら、巨大な山を貫通し、その後方の街へと光の矢は直撃して、その後ろの地面に直撃する。
まさに核ミサイルともいえるその威力によって、着弾した瞬間、全て光の中に蒸発され、何もかも全てを消滅させながら巨大な火柱とキノコ雲が巻き起こる。
さらにそこから発生した強力な衝撃波が地上のあらゆるものを粉砕していく。
超高熱の火球、強烈な熱線、強烈な衝撃波、そんなものの直撃を食らって生き延びられる人間などは存在しない。
もしここに街が存在していたら、生きている人間は一人残らず蒸発して、あるいは熱量で焼き尽くされ、さらに猛烈な衝撃波で吹き飛ばされていく。
そして、その衝撃波と熱量は、魔術砲撃を行った元人類至上派の村もただではすまなかった。衝撃波と熱量に襲われた街は僅かな生き残りすら生かさない、と言わんばかりに全て吹き飛ばされて死に絶えていく。
その圧倒的な暴力を振るう快楽に、ノインは狂ったような哄笑を上げていた。




