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第104話 神器ミストルティン再起動

 これらエルや辺境伯の活躍は、配信を通して人々に大きく知らしめられていった。

 農民に対して食糧を徴発する所が、逆に農民たちに対して麦粥を大量に振る舞う始末。

 しかも敵に対して連戦連勝とあっては勝ち馬に乗ろうとする人々が多いのは当然である。

 中立派の貴族たちも波をうって辺境伯側へと流れこんでいく。

 これだけの戦力と戦果を見せつけたのなら、中立派がこちらへと流れこむのも当然だろう。

 そして、それに切れたのは、追い詰められつつある人類至上派のクーデター軍だった。


「愚か者どもめが!!これでは奴らの評判を高めるだけではないか!!」


「奴等は小賢しくも正義の味方気取りで侵攻していている!一方我等は愚民どもには悪役扱いだ!!奴等には真の正義が見えていない愚か者なのだ!!我々の力を見せつけ!正義を行う必要がある!」


 ついに切れた彼らは、敵を奥深くまで引き入れ、疲労しきった戦略限界点まで誘導した後でミストルティンで殲滅するという基本戦略すら投げ捨てた。

 我々の力を見せつけて調子に乗った愚民どもに目を物を見せてやる!!と実に短絡的な発想に至ったのだ。


「……神器ミストルティン、起動します。」


 ノインとユリアの二人が乗ったミストルティンはついにその移動を開始した。

 クローンされた大量の脳と、それを操作する魔術師たち、そして王座に座るノインと、側に頭に奇妙な機械を接続されたユリア。

 ユリアはこのミストルティンの脳としての制御を行っているのだ。

 当然、巨大要塞であるミストルティンを一人の人間の脳で制御するのは無理がある。

 そのため、教授は自らの脳を大量にクローン化して制御装置として扱っている。

 それでもユリアの脳にかかる負担は大きいが、ノインは苦悶に苦しむユリアを見て、いい気味だ、と溜飲を下げる。


 巨大な複数のスラスターによってひたすら前進する巨大要塞。空中を悠然と進む空中要塞の威容に地上にいる者たちは口を開けて見上げるしかなかった。

 そんな彼らを見下ろしながら、ノインは小さな街を見つけると、そこに標準を定めると、副砲である数百もの魔術砲台を展開し、そこから放たれる数百もの魔術レーザーを次々に街に叩きこんでいく。

 その魔術爆撃によってたちまち街は破壊しつくされ、街の人々は死体へと変わっていった。


「はははは!見たか!!愚か者どもめ!!幸せそうな奴らは皆殲滅してやる!!皆公平に不幸になればいいのだ!!この私が裁定者となって神々の代わりに愚民を裁いてやる!私にはその力と権利があるのだ!!」


そのノインの哄笑を、教授は無表情で見守っていた。

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